IMCは、マーケターがビジョンを語るための
最適な思想である

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インテグレートの藤田康人氏が、インタビューを終えて感じたマーケターの課題とは、ストーリーを語ることの重要性である。IMCの父と言われるドン・シュルツへのインタビュー連載の最終回。

 

「消費者インサイト」を読み解くことが不可欠

 シュルツ教授が対談の冒頭で現代のIMCの重要なポイントとして『以前と現在とで、最も大きく変わったのは、IMCを実践するときの視点です。企業がどうすべきか、という観点ではなく、「お客さまはどうか」を考えることが第一になりました。』

 と語っているように、メディア、デバイスが多様化し、モノと情報が溢れる現代において最も重視されるべきなのが「消費者起点の需要創造」です。消費者の声に真摯に耳を傾け、消費者が真に必要とする商品やサービスを考えない限り、新しい需要は喚起できない時代になりました。

 革新的な商品開発においては、コンセプトづくりがキーになります。その主な要件は、

①市場ニーズを的確に満たしているか、あるいは将来のニーズを予感させること
②根源的、また共通ニーズに適応していること
③顧客に対し、創造的提案になっていること
④他社製品と差別化され、新鮮なものであること

 の4つです。

 消費者が成熟するにつれ、それまでの表面的な分析だけでは説明できない消費者行動が増え、消費生活はより複雑になりました。前述のように市場は飽和し、商品機能のコモディティ化が進み、製品クオリティや価格訴求だけでは購買意欲を刺激することが難しくなるなかで、消費を喚起していくためには、お客様の心を揺さぶる力強いストーリーが必要です。そして、そのストーリーをつくるには「消費者インサイト」を読み解くことが不可欠です。シュルツ教授が対談を通じて繰り返し語っていたのが企業の顧客中心のマーケティングへの思想変革です。データの重要性を説く本質はそこなのです。

 モノが売れない時代に消費者の心を動かすには、「認知から購買に至るまでのプロセス=カスタマージャーニー」の把握が欠かせません。そのためには消費者が該当商品とどのような接点を持ち、どのような体験をするのかを探りながら、認知から購買に至るまでの行動プロセスを可視化し整理していくことが必要となります。そこから見つけ出すべきが、消費者インサイトです。リサーチやデータの分析・洞察の役割は、ますます重要になってきています。

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