経営者にますます必要とされるのは
マーケティング・センス

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IMCの父と言われるドン・シュルツへのインタビュー。今回はインタビューを終えたインテグレートの藤田康人氏が、シュルツ氏の言葉から感じた日本企業の課題を語る。

 

IMC1.0から3.0へ
取り残される日本企業

 ドン・シュルツ教授が1990年代に確立したIMC(統合型マーケティング・コミュニケーション)は広告、PR、セールス・プロモーション、人的販売、ダイレクト・マーケティング、eコマース・マーケティングなどのマーケティング・コミュニケーションの統合的技法としてグローバル企業のデフォルトのアプローチとなりました。

藤田 康人氏(ふじた・やすと)
インテグレート代表取締役CEO。 1964年東京都生まれ。慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社に入社。1992年、ザイロフィンファーイースト社(現ダニスコジャパン)を、フィンランド人の社長と2人で設立。1997年にキシリトールを日本に初めて導入し、同市場を確立した。2007年5月、IMCプランニングを実践する日本初のプランニングブティックとしてインテグレートを設立。近著に『THE REAL MARKETING-売れ続ける仕組みの本質』(宣伝会議)。

 それがIMC2.0におけるオペレーションレベルの統合のステージを経て、現在はビックデータの活用により、顧客やより多様なステークホルダーとの関係をマネジメントする戦略的ビジネス・プロセスとして確立されてきました。

 そしてそのプロセス全体をマネジメントするCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)という存在が登場したことにより、マーケティングを経営レベルでオペレーションするIMC3.0のフェイズに進化しています。

 しかし、多くの日本企業においてはいまだコミュニケーション手法の統合であるIMC1.0さえも導入できておらず、国内市場のみならず世界市場でも苦戦を強いられているのが現状です。

 ドン・シュルツ教授の著書である『広告革命 米国に吹き荒れるIMC旋風―統合型マーケティングコミュニケーションの理論』が日本で発売された 1994年に最初のIMCブームが巻き起こり、広告マーケティング業界では大いに話題となりましたが、日本でこの思想が定着することはありませんでした。

 2冊目の著書である『ドン・シュルツの統合マーケティング』が発売された2005年には再びIMCが久しぶりに注目されましたが、オペーションの統合であるIMC2.0の本質が理解されることはなく、グローバルスタンダードのマーケティングアプローチであるIMCが日本に定着しなかったことが、今日の日本企業の低迷の大きな要因の1つだと考えられます。

 ビックデータの時代を迎えデータの統合であるIMC3.0を実現するためには、DMPというプラットフォームを設計するのと並行して、早急に企業内外のオペレーションの統合と組織の在り方含め、その運用体制の検討を進めていく必要があります。

 低迷する日本企業が再び世界で躍進するためには、偶然なのか10年に一度日本に訪れるIMCのブームを、今回はバズワードとしてではなく、日本のマーケティング界がその本質的に理解をして、IMC3.0を早急に導入することが欠かせないということを、対談を通じてシュルツ教授は確信させてくれました。

次のページ  なぜ日本企業ではIMCが実現できないのか?»
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