経営書を読んでいて、
文章に魅せられることがある

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よい文章、美しい文章などの褒め言葉はビジネス書や経営書であまり使われないが、確実にそう感じる文章に遭遇する。新刊『ビジネス意思決定』を読んで考えた、よい文章とは何か。そしてどのような文章が読み手に伝わるのか。

 

必要なことがすべて書かれていて
不要なことが一切ない文章

 小学校に入ってから高校を卒業するまで、国語でよい成績を取ったことがありません。そんな私が人の文章を評価するのはお門違いだと自覚しつつ、それでも一家言持つようになります。

 経営書を読んでいて、内容のみならず、その文章に魅せられることがあります。それは国語の先生が認める「よい文章」や「美しい日本語」の類に属するものとは別ですが、「なんて素晴らしい文章なんだろう」と感嘆することがあります。

 新刊『ビジネス意思決定』はまさに、そう実感した本でした。

 本書のテーマは、「質の高い意思決定」をするために必要なこと、この一言に尽きます。350頁にわたる本書の最初から最後まで、この一言に必要なすべてのことを網羅し、この一言に関係ないことを一言も書かない。コピーライターの西村佳也氏によるウィスキーの広告「なにも足さない。なにも引かない。」というコピーそのままの文章です。

 必要なものを漏らさず書くことも難しいですが、必要ないことを一言も書かないことは、さらに難易度が高い。「大は小を兼ねる」というように余分なことを容認しがちですが、それによって大事なものが明確に伝わらなくなる可能性が高まります。不要な一文がない文章を書くには、書き手が自分の書きたいテーマをとことん掘り下げる必要があります。書きたいことを書くとは意外と難しいもので、字数が多い状況が許される書籍の場合、あれもこれもと書いてしまいたくなります。そして主題が書き手の中でもあいまいになり、読み手にも伝わらなくなりがちです。より多くの情報を伝えようとするあまり、中核的なメッセージが伝わらなくなるというジレンマです。

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