ティム・クックの同性愛公表が、
アップルとビジネス界にもたらす意義

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ティム・クックは2014年10月30日、フォーチュン500企業で最初に同性愛を公表したCEOとなった。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の課題に関する米企業社会の現状をふまえると、今回のカムアウトの意義が見えてくる。

 

 コメディアンのエレン・デジェネレス。CNNアンカーのアンダーソン・クーパー。アメフト選手のマイケル・サム。3人に共通するのは、それぞれの業界にあった同性愛者への障壁を、カミングアウトによって打ち破ったことだ。いま、ここにアップルCEOのティム・クックが加わった。彼はブルームバーグ誌への寄稿で「ゲイであることを誇りに思う」と述べ、フォーチュン500企業における最初の同性愛告白者となった。

 2014年の前半に遡れば、アップルよりもはるかに小さな2つの上場企業のCEOによる告白があった(英語記事。C1ファイナンシャル、およびIGIラボラトリーズは米上場企業の中で最初にCEOが同性愛を公表した2社となった)。しかしクックの告白以前、アメリカの企業社会における最も支配的な通念は「訊くな、言うな」であった。2014年になってもこの現状が続いていたことは、驚きに値する。ヒューマン・ライツ・キャンペーンの報告によれば、フォーチュン500企業の91%が性的指向による差別を禁止しているというのにである。

 クックが寄稿で述べているように、アップルは長きにわたってLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の権利を守る方針を掲げ、差別的な法律に反対を唱えてきた。今回の告白は、同社の信念に新たな信憑性を与えることになる。クックの性的指向は長い間公然の秘密であったという。「私は何年も前から、自分の性的指向を多くの人々にオープンにしてきた。アップルの多くの同僚は私が同性愛者であることを知っているが、それを理由に私への接し方を変えているようには思えない」。とはいえ、企業が平等を掲げているのに、そのリーダーが自分の属性について世間に沈黙を貫くことは、ある種の認知的不協和を生んでいた。

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