現場発のレバレッジを効かせた経営

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過去最高益を更新する企業が相次ぐなど日本企業は復調しつつあるが、必ずしも「売り上げる力」が伸びているわけではない。それこそが、かつての日本企業の強さである。その本来の強みを発揮できない理由と共に、日本企業が世界で勝つための「現場発の戦略再構築」を考察する。

フツウの会社にもできる「拡業」

 成長の限界を突破するためには、角度とスピードの初期設定を誤ってはいけないこと、デジタル思考にはないしぶとさが必要なことを、前回述べました。トヨタやLIXILやユニクロを例に挙げたので、「フツウの会社のうちは、一体どうすればいいんだ」と不満に感じた読者もいたはずです。

 確かに、いきなりトヨタと同じことを、同じレベルで行うのは難しいかもしれません。しかし、自分たちの本質的な強み、すなわちDNAを掘り下げ、再び覚醒させることで、現状を打破しようとするやり方は、多くの日本企業にとって参考になるものです。

 それも、手詰まり感を感じている企業ほど手本になるはずです。なぜならば、そういう状況に置かれたところほど、自分たちの本来の強みを忘れて、成長分野とされる事業領域や成長著しい市場へ、安易に進出する傾向があるからです。

 新しいことにチャレンジするのは大いに結構ですが、自社の強みを生かすことなく、本業とかけ離れた「飛び地」にいきなり挑むのは、無謀と言わざるを得ません。

 では、どうすれば成功確率を上げて、次世代成長を加速させられるのか。その答えは、本業と共通性の高い領域に新規事業を仕掛ける「拡業」にあります。本業の中で培われたDNAの強みは、隣り合う別の事業領域でも十分に通用するものです。

 こういう話をすると、「うちに本質的な強みなどあるのか?」と不安そうな顔をする経営者もいますが、長く続く企業であれば必ず、ここだけは負けない、これがあるから生き残ってこられたというものが何かしら必ずあります。

 それが、強みであり、DNAなのですが、その価値に気づかず、眠ったままになっている。これは実にもったいないことです。

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