文脈を読むことで
身につかないこともある

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「文脈を読む」という言葉はほとんどの場合、肯定的な場面で使われる。しかし、「文脈を読む」ことで失うものもある。細部を語ることと文脈を読むことは両立するのか。

 

ボールを蹴るのが下手でも
サッカーが上手い人

 世の中には、ボールを蹴るのが下手でもサッカーが上手な人がいます。走るのが速いわけでも身体能力があるわけでもないのに、サッカーは上手い。サッカー選手の基礎練習でいうと、キック、ボールコントロール、ヘディングなどさまざまありますが、それぞれどれをやっても目立たないのに、サッカー選手としては高い評価を得てレギュラーになるような人です。

 俗に「サッカーを理解している」選手と言われます。つまりサッカーというゲームの構造を深く理解し、試合中の状況を常に把握する力や、局面に応じて最適なプレーを選択する力を備えた選手です。

 これは「文脈を読む力」と言い換えてもいいでしょう。この言葉は便利な言葉です。文字通り、われわれのような活字を仕事にしてきた人間には、それぞれの語彙を理解するだけでなく、センテンスやセンテンスのつながりを理解することが必要で、その際に使うのが元の意味に近い使い方です。

 他方で、物事の全体を理解する、という使われ方もします。ひとつひとつの事象にとらわれずそれらを包含した全体像を理解することです。また、動的な概念として全体の「動き」を理解する、という使われ方もします。この場合、物事が起こった「点」ではなく「線」として理解する、という意味です。いずれにしても「文脈を理解する」という言い方は、肯定的な意味で使われるのではないでしょうか。

 ただし、この文脈を読むことがある種の欠陥につながることもあります。

 例えば英会話です。英会話をうまくするには、スピーキングとヒアリングを鍛えなければいけません。スピーキングの場合、常套句を覚えることもそうですし、「th」や「r」の発音、さらにアクセントなどそれぞれを習得することが必要です。ヒアリングでも「in a」「think about」「have to」などでの発音の変化を聞き取る力が求められます。

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