IMC3.0の時代に必要なのは
データマネジメント

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「データから、どんなインサイトを導けるか。それこそが大切」と語るのは、統合マーケティングの提唱者であり“IMCの父”といわれるドン・シュルツ教授。9月24-25日に行われた「ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン2014」への登壇のため来日したシュルツ教授に、日本国内でIMCをベースとしたプランニングを手がけるインテグレートの藤田康人氏が「統合マーケティングの未来」について聞いた。

 

「企業の視点」から「お客さまの視点」へ

藤田:最後に執筆された著書から約10年が経ち、我々は今“ビッグデータ時代”に突入しています。消費者のデバイスも非常に多様化していますが、昨今の変化をどうご覧になっていますか?

ドン・シュルツ氏
ノースウェスタン大学 IMC名誉教授 Donald Schullz(ドン・シュルツ)氏 P.コトラー、D.アーカーと並ぶ世界の3大マーケティング巨匠の1人といわれる。統合マーケティングの提唱者であり、また、3M、ビザ・インターナショナルなど数多くのグローバル企業でのコンサルティングの実績を持つ。自ら経営するコンサルティング企業のAgora社CEOでもある。主な著書に『IMC The next generation : Five steps for delivering value and measuring financial returns』(2003)などがある。

シュルツ:以前と現在とで、最も大きく変わったのは、IMCを実践するときの視点です。企業がどうすべきか、という観点ではなく、「お客さまはどうか」を考えることが第一になりました。

 私が最初に統合マーケティングを提唱した80年代後半は、企業の立場から物事を見ていました。企業が有している、たとえば広告やPR、ダイレクト、SPなどのソリューションを「いかに統合できるか」に約10年にわたって取り組んできました。

 企業は当時、各部門が縦割りの組織になっているのが一般的だったので、これらのソリューションを統合するために、まずは縦割りを廃して組織を統合したのです。それから、さまざまなメディアをどのようにコーディネートしてコミュニケーションを図っていくべきかを考えていきました。

藤田:それが、「IMC1.0」と言われるステップですね。コミュニケーションレベルの統合の次にきたのが、ファイナンスや流通などを含めたオペレーションレベルの統合ですか?

シュルツ:そうです。それが「IMC2.0」になります。今度は、さまざまなステークホルダーに対するコミュニケーションの統合が図られました。

 それが進んだころ、90年代後半に登場したのがインターネットです。これによって、コミュニケーションはインタラクティブになりました。するとその後は“企業がどうすべきか”という視点よりも“お客さまは何を考え、どう行動しているか”をより重視する必要が出てきました。そういう環境が台頭してきたのです。

藤田:そうなったとき、企業はどう変わりましたか?

シュルツ:当然企業としては、お客さまの立場に立ったアプローチを取らなければいけません。企業はお客さまの視点で物事を捉え、施策に落とし込むようになりました。メディアプランニングにしても、以前は企業の論理で組み立てて発信していたのが、お客さまがどういうメディア形態にアクセスし、何を見ようとしているのかをまず調べるようになりました。

ただ、皆が同じようなメディア接触行動をとっているわけではなく、タイプによってはソーシャルメディアで主に情報収集をする、あるいはネットはまったく使わないという人もいます。そこは難しいところですが、いずれにしても企業はお客さまのメディア接触状況や行動パターンの理解に努めるようになりました。

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