トップは「ミドルの連携」を望んでいる

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ネットとリアル、先進国と新興国、ハードとサービスの一体提供・・・・・・今やまったく異なるタイプのビジネスを、さまざまな部署横断で統合的に実行していくことが増えている。当然ながらマネジャーの調整ごとは飛躍的に増え、もはや対症療法では追いつかないほどだ。この現状を抜本的に解決するにはどうすればよいのか。新刊『組織が動くシンプルな6つの原則』(ダイヤモンド社)を著したボストン コンサルティング グループに聞いた。

 

調整ごとが、圧倒的に増えている

編集部(以下色文字):ビジネス環境も、組織の内部も複雑化する一方ですね。

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東海林 一(しょうじ・はじめ)
BCG東京オフィス パートナー&マネージング・ディレクター。 一橋大学経済学部卒業。米ロチェスター大学経営学修士(MBA with Honor)。日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て現在に至る。ハイテク・通信業界を中心に、事業戦略、アライアンス戦略の策定及び実行支援、組織構造改革、新規事業立上げ支援などのプロジェクトを数多く手掛ける。

東海林(以下略):日本企業には潜在力があるのに、なぜ他国のグローバル企業のようにイノベーションを打ち出せないのか。多くのお客さまと接点を持つなかで、日本企業の意思決定が遅くなったことがその理由の一つだと実感していました。意思決定が遅くなったのは、企業規模の拡大と時間の経過によって企業のカルチャーが変わったことが原因ではないか。最初はそう考えたものの、はたして人は10年で変わってしまうものかと疑問が浮かびました。

 その疑問を解消しようと、現場の主力であるミドル層の方々にお聞きしました。返ってきたのは「調整ごとが増えた」という反応です。現代の企業は「ネットとリアルの融合」「先進国と新興国の同時展開」「ハードとサービスの一体提供」など、性格の異なるビジネスを統合的に進める必要があります。そのためには部門を越えた取り組みが求められるので、調整ごとが増えるのは構造的な問題だったのです。つまり、現在の組織形態は企業の戦略と不整合を起こしているということにほかなりません。

 実態に合った形に組織を変えるという選択肢もあるでしょう。しかし、組織を変えるのは大ごとです。器を変えても中身が変わるとは限りません。だとしたら、今こそトップがリーダーシップを発揮し、調整ごとはトップ自ら乗り出して解決すれば意思決定のスピードが上がる。そう考え、トップに進言しました。反応は思わしくありません。

「創業者やカリスマであればそういうこともできるだろう。でも、組織の中で仲間と育ってきたのに、トップになったからといってすべてを決めても部下はついてこないよ」

 つまり、伝統的な日本企業ではトップダウンのリーダーシップを発揮するのが難しいというのです。トップにリーダーシップがないわけではありません。トップダウンで指示を出したい気持ちもあるといいます。ただ、やり方について試行錯誤しているのです。

 そんなときに出会ったのが本書『組織が動くシンプルな6つの原則』でした。ここに書かれているのは、ひとつのリーダーシップのあり方です。すべてを自分で決めて、すべてを自分で動かすということではなく、必要な知識やノウハウを持っている人に権限を付与し、その人たちが部門を越えてチームワークを遂行する「場」が重要だということを知ったのです。ここに、日本企業のトップが抱える悩みを解決する糸口があるのではないかと考えました。

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