朝型の人、夜型の人、自制心のゆるむ時間帯

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人の判断力は疲れていると鈍るが、それは倫理観についてもいえるという。一見当たり前とも思えるこの現象が、実験によって改めて証明された。


 仕事には、非倫理的な行動へと導く誘惑がたくさんある。このような誘惑に抵抗するにはエネルギーと努力が必要だ。だが自制心を発揮するために必要なエネルギーの量は、常に一定なわけではない。そして活力・気力が落ちている時、人は非倫理的な行為に走りやすくなる(英語記事)。このことは、ある人物が同じ1日の中で、ある時点では倫理的に、別の時点では非倫理的になりうるという可能性を示唆している。

 マネジメントと心理学に関するここ数年の研究から、興味深い事実が明らかになっている。それは、エネルギーと倫理観はどちらも時間につれて変化するということだ。善人はいつもよい行いをして、悪人は悪い行いをする――この通念とは裏腹に、時間的な影響次第で、善人が非倫理的に、悪人が倫理的になりうるという証拠が増えている。たとえば、前の晩によく眠れなかった人は、たとえ健全な倫理観の持ち主であっても、しばしば非倫理的な行動をとってしまうのだ。

 我々の研究は、この論点に端を発したものである。1日の経過につれて、人はより非倫理的になりうるという最近の研究報告(英語論文)を基にして、ではこの現象が1日におけるエネルギーの変化にも同様に応じるのかどうかを、我々は検証した。疲労に関する研究によれば、人の注意力とエネルギーは、概日リズム(約24時間ごとのリズム)に沿って予測可能なパターンで変化する。だが、人によって概日リズムは異なる。ある人は「ヒバリ型」つまり朝型であり、1日の早めの時間に活発になる。自然に朝早く目覚める傾向があれば、このタイプの典型だ。他の人たちは「フクロウ型」つまり夜型であり、遅い時間に活発になる。朝型の人は早起きで、夜型は夜更かしを好む(BBCが報じた最近の研究によれば、朝型・夜型の性質は本人の遺伝子によって決定されているという)。

 我々はこの研究に基づき、朝型の人と夜型の人では1日の経過における倫理的/非倫理的な行動のパターンが異なる、という仮説を立てた。朝型の人と夜型の人のエネルギーのレベルは、異なるパターンで推移するはずだ。そしてエネルギーは、誘惑に抵抗するために欠かせない。したがって、朝型の人は朝早い時間よりも夜遅くのほうが非倫理的になり、夜型の人は夜更けよりも早朝のほうが非倫理的になる――そう我々は予測した。この仮説を検証するために、我々は2つの実験を行った。

 最初の実験では、朝の行動にのみ焦点を当てた。被験者を実験室に集めて簡単な計算問題を解いてもらい、各自が申告した解答数に応じて謝礼を支払うと告げた。作業は匿名のため、実際に解いた数よりも多く申告することで謝礼を余分に得られるものと参加者は考えていた。しかし実際には、我々は本当の解答数を特定することが可能であった。つまり、解答数の過大申告という不正をした人を特定できたということだ。そして予想通り、今回は朝の実験であったため、夜型の人のほうが朝型の人よりもズルをする傾向が高かった。

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