「哲学」がMBAの人気講義になるのはなぜか?

ほんとうの「哲学」に基づく組織行動入門【第1回】

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 また4月中旬頃、某大手通信会社は、最新の物資支援の仕組みをリリースしたと大々的に発表したものの、それは現地でまったく役に立たなかった。それはiPhoneでソフトをダウンロードして活用するタイプの仕組みであり、当時、被災地でiPhoneを持っていて、使いこなせる人はほとんどいなかったためである。

 これらは「目的」は妥当なものであっても、「状況」の把握を間違ったため、まったく役に立たなかったという例である。原理とは、言われてもみれば当たり前のように感じるものであり、それに沿えば必ずうまくいくというものではないが、それから踏み外したときには確実に失敗するという類のものなのである。そして、上記の例にもあるように、現実には、その「言われてみれば当たり前のこと」に自覚的に思いを馳せる理路がないために、多くの人が原理を踏み外し失敗してしまうのである。

 あらためて、ではなぜ原理的な哲学が現実の組織行動において役立ちうるのだろうか。それは事柄の本質が明らかになると認識も明晰になり、自覚的に行動することが可能になるためだ。今回の場合でいえば、方法の本質――最も重要なポイントは、⑴目的と⑵状況という2点にあることが――明らかになったことで、この2つのポイントを意識しながら、より有効な方法を模索、実行することが可能になるということである。

 次回はさらに方法の原理の観点から洞察を深め、原理的哲学が組織でいかに役立ちうるものなのかを示していきたい。

 

※現在、ほぼ日刊イトイ新聞でも西條先生の連載

「西條剛央さんが洞窟で刀を研ぎ澄ましている。」が公開中です。

 

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【注】

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この日本最大規模の総合支援は、日本経済団体連合会、日本赤十字社、参議院の憲法審査会、内閣府(防災担当)にもその実績が認められ、それぞれの公式シンポジウム等に招聘された。また、2014年にはPrix ArsElectronicaという世界で最も歴史と権威あるデジタルメディアのコンペティションにおいて「コンピューター界のオスカー」と言われるゴールデン・ニカ(最優秀賞)を受賞した。Webの創設にあたるWWW(World Wide Web)や Wikipediaなど、その後世界を変えてきた枠組みが受賞したものであり、コミュニティ部門での最優秀賞の受賞は「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が初めてである。

 

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【連載】早稲田大学ビジネススクール経営講座

ほんとうの「哲学」に基づく組織行動入門 記事一覧

第1回 「哲学」がMBAの人気講義になるのはなぜか?

第2回 なぜ「答え」ではなく「問い」が大事なのか?

第3回 組織に蔓延する「前例主義」を哲学でどう打ち破るか?

第4回 星野リゾートと無印良品に共通する本質を捉える思考法 

第5回 天才じゃなくても「本質」は掴める

 

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