「哲学」がMBAの人気講義になるのはなぜか?

ほんとうの「哲学」に基づく組織行動入門【第1回】

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「方法の原理」という普遍的な考え方

 構造構成主義において、方法とは「特定の状況において使われる、目的を達成するための手段のこと」と定義される。何気ない定義にみえるかもしれないが、これは方法の本質——最も重要なポイント——は「状況」と「目的」という2点にあることを示している。

 読者の多くは、日々組織の中で、方法の是非を議論していることと思う。あるいは「こうすれば必ずうまくいく」という法則があると思っているかもしれない。ところが、原理上、どんな状況で、何をしたいかを抜きに、どういう方法がよいかが決まることはない。たとえば、プレゼン方法ひとつとっても、客層は誰なのか、聴衆の数はどのぐらいの規模なのか、屋内なのか屋外なのか、部屋の大きさは、どのような機器を使えるのかといった「状況」と、何を伝えたいかという「目的」を抜きに、どういうプレゼン方法がよいかを考えることはできないことがわかるだろう。

 これはどんな状況、目的においても機能する「絶対に正しい方法」はない、ということである。換言すれば、これまで「正しい」と思っていた方法も、状況や目的が変われば、「間違った方法」になる、ということなのである。ところがこの【方法の有効性は⑴状況と⑵目的に応じて決まる】という「方法の原理」は、いつでもどこでも例外なく妥当する。こうした普遍性を備えた考え方が「原理」なのである。

 未曾有の震災下で既存の物資支援の方法や枠組みの多くは機能しなかったのは、誰が悪いということではなく、これまで有効だった方法が、状況が変わったことにより有効ではなくなったからである。それに対して、ふんばろう東日本支援プロジェクトが機能したのは、常に⑴状況と⑵目的に応じて有効な方法を考え出す、という「方法の原理」を共有し、それを指針に実践したからに他ならない。

 ふんばろう東日本支援プロジェクトの物資支援が被災地全域で広まったのも、この方法の原理に沿った仕組みを備えていたためである。4月1日、初めて南三陸町を訪れたときの状況は次のようなものであった。物資は拠点避難所には山積みになっていたものの、その先の小さな避難所に流すための仕組みも人員もなく、小さな避難所や個人避難宅エリアには物資が届いていない状況であった。しかし、ちょうどガソリンが入手可能になりつつあった時期であり、実際、ヤマト運輸の倉庫に人がいるのをみかけた。それを現地で物資の届いていない避難所を案内してくれたさかなのみうらというお店の店主、三浦保志さんに話したところ、「さかなのみうら」と書けば自分のところに物資は届くから、そしたら全部物資が届いていないところに届けるよ、といってくれた。

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