まだら模様のグローバル組織変革の
方向性・方法・付帯条件

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グローバル化する日本企業の「現状(現在像)」と「あるべき姿(将来像)」について述べてきたが、今回は、「現在像」と「将来像」を見比べながら、現在から将来に向けての「変革像」について説明したい。本連載では、日系企業的な特徴と外資系企業的な特長が、現在の日本企業に「まだら模様」となっている状態を想定しているので、こうした組織を変革する方法はかなり複雑である。それを安易な単純化は避けつつも、可能な限りわかりやすい形で捉えて、何をどう変革すべきか考えてみたい。

どこをどう変えるのか?

 初めに現在像から将来像に向かう「変革の方向性」について述べてみたい。

 変革の方向性とは、組織の現在像から将来像への変革に向けて、現在像と将来像を比較してギャップを特定し、そのギャップを埋めていくことである。この変革の方向性の定義自体は、まだら模様の変革でも同様である。ただ、まだら模様の変革はその複雑さゆえに少々工夫が必要だ。

 組織の変革は、まだら模様化した組織を切り分けることから始まる。手術にたとえるならば、まず体を部位ごとに捉えて診断し、施術していくのである。問題はどう切り分けるかで、まだら模様の変革にあたっては2つの鍵がある。

 第1の鍵は、「機能」という視点で切り分けることである。前回、「広義のバリューチェーン」として経営機能(CxOを中心とした経営陣)、本社機能、事業機能にそって線を引く方法を提示したのもこれに則っている。

 第2の鍵は、「まずなるべく大きく切り分けて、順を追って細分化していく」ことである。具体的には、もっとも大きな組織単位であるグローバル全社を、初めに、「経営機能」、「本社機能」、「事業機能」という3機能に分解する。

 次は3機能をそれぞれさらに切り分ける。たとえば本社機能を「財務」、「人事」「IT」、「法務」等に切り分け、さらに、「人事」を「コアの専門的な機能(「採用」「育成」「配置」「報酬」等)、「ビジネスパートナー機能」、「人事サービス機能」などと切り分ける。こうして、個別職務・役割に至るまで分解する。

 そのように切り分けた上で、各部分の現状(現在像)とあるべき姿について、この連載で用いている色分けに沿って、世界標準の青、日系的な緑、進出先ローカルに合わせる赤で識別する。そして、現在像と将来像を対比する。この対比イメージを、初めに行った「経営機能」、「本社機能」、「事業機能」への切り分けの場合で例示的に述べてみよう。

 まず現在像でみると、経営機能は緑:青=10:0(すべて緑)、本社機能は緑:青=9:1(ごく一部が青)、事業機能は緑:青=8:2(開発・製造機能では緑が優勢、研究機能やマーケティング機能SCM機能は青がまざる)とする。これに対して3年後の将来像では、経営機能は緑:青=7:3、本社機能は緑:青=5:5、事業機能は緑:青=3:7(3の強味は死守・改善)、5年後の将来像では例えば全機能3:7と描く。

 後続の段階でさらに切り分けた部分についても、このような形で、現在の色と将来の色を対比して変革の方向性を描く。つまり、大きな切り分けでの色分けから始めて細分化した色分けまで行うことで、全体観を保ちつつ組織の隅々にいたるまで対比し、方向性を設定する。

 このように描くことで、外国人との間でも、図・色という共通シグナルを使って、言葉への負荷を減らす形で共通理解を得ながら組織変革の方向性について議論を進めることができる。また、経営トップが経営指標をみて、問題のありそうな部分について「その部分の色は今どうなっているか」と問い掛けることで、組織的課題の深堀を始めるきっかけにもなる。

 

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