CMOとCEOの連携が、企業成長の礎となる

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マーケティングの有効性を組織全体に広げるためには、「CMOとCEOの緊密な連携」が命題となる。両者が協力し合って成長を牽引するための要諦を、マッキンゼーの専門家たちが事例とともに紹介する。本誌2014年10月号特集、「2020年のマーケティング」関連記事。


 フィリップス・ヘルスケアのデボラ・ディサンゾは2012年5月にCEOに就任した際、今後も技術や工学がイノベーションを牽引していくだろうとわかっていた。しかし同時に、事業を変革するためにはマーケティング力を鍛えなければならないことも心得ていた。「市場はダイナミックに変化しています。当社の変革を誰が主導すべきかといえば、それはマーケティングです。マーケターは市場と顧客の動向を把握し、組織全体を引っ張っていく必要があるのです」とディサンゾは説明している。

 そこでまず彼女は、600という途方もない数のマーケティング関連の役職を業務内容に従って8つに統廃合し、それぞれに専門性と明確な責任を課した。また、3つの主要な事業部門に詳細な知見を提供するために、3人のCMO(最高マーケティング責任者)を任命するという異例の手段を講じた。そしてマーケティングを、全社的な成長戦略の牽引役と位置づけた。

 ヘルスケア業界に変化をもたらす要因――合併、事業再編、規制、医療支出の増加など――によって、フィリップス・ヘルスケアも変革を迫られているが、このような変化の波はビジネス界全体に押し寄せている。その結果、これまで独立した補助的な部門とされがちだったマーケティングが、組織の力強い成長に不可欠な役目を担うようになってきた。有益な顧客インサイトを発見し、それに基づく戦略立案と開発を行い、製品・サービスを市場に届けるうえで、マーケティングはますます必須となっている。こうした動きは、世界中のさまざまな産業で見受けられる。すなわち、CEOとCMOのいっそう緊密な連携が問われているということだ。

 CMOはこれまで以上に、全社的な目標と戦略、そして特にCEOと、歩を合わせる必要がある。かたやCEOは、顧客目線をもっと大切にしなければならない。そこで我々の経験に基づき、CEOとCMOが活発で有益な関係を築くためにできることをいくつか紹介しよう。

 まずはCEOに、以下を提言したい。

●CMOを経営会議に出席させる
 CEOは率先してCMOの存在感を高めるよう努め、公式・非公式を問わず(両方とも同等に重要だが)さまざまな場面で、マーケティングの重要性が増していることを周囲に伝えよう。まずは戦略立案の過程で、CMOに明確な役割を与えるとよい。プランニングの段階から顧客目線を取り込めるばかりか、CMOも事業の全体像をつかむことができる。事業戦略を話し合う場では、CEOが顧客関連の問題についてCMOの意見を引き出そう。経営メンバーとCMOが1対1で話し合う機会を、CEOがアレンジしてもよい。フィリップス・ヘルスケア・イメージングシステムズのCMOであるバート・ヴァン・ムールスは、「マーケティングは経営陣の議題に常に含まれ、経営会議では重要な役割を果たしています」と語る。

 シーザーズ・エンタテインメントのCMO、タリク・ショーカットの発言も同様だ。「CEOのゲイリー・ラブマンは、マーケティングは事業を牽引する中核的な役割を担うという考えを、私と社員に明確に示してきました。実際、マーケティングの人間は事業報告や戦略立案、財務報告の会議に参加しています」

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