アナリティクスに秀でた
「新世代のマーケター」を獲得するには
アナリティクスの時代が到来した今日、マーケターにはデータと分析に関する知識と経験が問われるようになった。マーケター採用時に候補者のアナリティクス能力を見極めるヒントを、SASのマーケティング・リーダーが紹介する。本誌2014年10月号特集、「2020年のマーケティング」関連記事。
マーケティング責任者を取り巻く新たな常識は、従来のマーケティングとは違う様相を呈している。主な要因は、データ(およびビッグデータ)とアナリティクスによる新潮流、そして新種のマーケターの台頭だ。今日のマーケターには、データとアナリティクスに関して(数値化だけではなく)新たなスキルと経験が問われる。アナリティクスに強い組織文化、そして未来志向のマーケティング組織の構築を目指すならば、新世代のマーケターを発掘・評価・養成し、モチベーションを高めることは、いまや不可欠である。
新世代のマーケターに求められる能力
マーケティングのどの役割においても、いまやデータとアナリティクスに関して一定の能力が求められる。ひときわ高度な分析と技術を要するポストもあるが、すべてのマーケターに求められる新たな能力基準がある。たとえばデータ管理の原則と分析手法に関する知識だ。そしてデータの品質の重要性、データ・ガバナンスの重要性、マーケティング活動におけるデータの価値、などに対する理解も必要だ。今日のマーケターは、分析結果の報告や指標の測定・管理などをはるかに超えて、アナリティクス全般についてより深く理解していなければならない。そこには最適化、テキスト、センチメント、スコアリング、モデル化、ビジュアル化、予測、アトリビューション、等々に関する知識も含まれる。
また今日のマーケターには、データとアナリティクスを活用したテクノロジーやツール、設計に関する経験が求められる。キャンペーンの設計、マルチチャネルの統合、コンテンツ・マーケティング、パーソナライゼーション、デジタル・マーケティング――これらはすべて、ファクトベースの意思決定がなされるべきものだ。そして結果に対する直接的な責任が明らかで、顧客と市場の要求に素早く反応し適応できるものであれば、なお望ましい。それらを実現できるマーケターは、創造性と論理的思考力を絶妙な形で併せ持ち、探求心が強く独創的だ。そして先進的で俊敏に動く組織文化を強く歓迎する。
面接、採用のポイント
マーケティング担当者の採用に当たり、候補者が新時代にふさわしい人材かどうかを見極める方法がある。候補者の経歴(キャンペーンやプロジェクト、その他の活動)を見る時、意思決定と成果測定においてデータとアナリティクスが重要な役割を果たしたことがわかる実績を探すのだ。
いまやクリエイティブ分野だけでなくすべてのマーケターが、「マーケティング分析のポートフォリオ」を持つべきである。デザイン段階でのデータ活用、戦略上の意思決定で活用した分析手法、アナリティクスを用いた実験や成果測定、といった実績を提示できるからだ。その際、自分がどう変化を及ぼしたか、失敗に終わった取り組みから何をどう学んだかについて、明確に示せるということが重要だ。多くのマーケターはビジュアルやマーケティング・メッセージに関する実績を重視するが、新世代の(アナリティクスに秀でた)マーケターは、マーケティングの取り組みにおける因果関係――何が、どのように、なぜ――を説明できるのだ。

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