成長の限界を打ち破る

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過去最高益を更新する企業が相次ぐなど日本企業は復調しつつあるが、必ずしも「売り上げる力」が伸びているわけではない。それこそが、かつての日本企業の強さである。その本来の強みを発揮できない理由と共に、日本企業が世界で勝つための「現場発の戦略再構築」を考察する。

その成長では世界の一流にはなれない

 東証第一部上場企業の約3割が純利益で過去最高を記録するなど、安倍政権の経済政策は着実に効果を上げているように見えます。しかし、あの程度の業績の伸びで気を良くしているようでは、世界で戦っていくことは不可能です。

 大して高くもない目標を掲げて、それが成長だと信じ込んでいる。これでは、より高いところを目指して、猛烈なスピードで成長する海外の企業に、追い付くことも追い抜くこともできません。

 もちろん、LIXILやユニクロのような例外もあります。

名和高司
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授

 LIXILは藤森義明社長兼CEOの強力なリーダーシップの下、2020年に海外売上高1兆円という高い目標を掲げ、その実現に向けて確実に手を打っています。M&Aによって海外の住宅設備大手を次々に傘下におさめたことで、当初は無謀とも思われた目標達成は現実味を帯びてきています。LIXILの果敢な姿勢は、日本企業の中では際立っているといえるでしょう。

 とはいえ、世界に目を向ければ、LIXILの成長目標はごく標準的な水準です。非常識と思えるほど高いハードルを設定して、猛スピードでクリアしている企業はたくさんあります。

 日本企業はどうしても、周到に準備をして、ガバナンスも効かせてと、作法通りにやろうとする傾向があります。そうしている間に、少々乱暴でもリスクを承知で新しいことに貪欲にチャレンジする韓国や中国の後発企業に追い抜かれてしまう。いわんや、先を行くグローバル企業に追い付けるわけがありません。

 日本企業が本気で世界と戦っていくのであれば、より大きい成長角度、より速い成長スピードの初期設定が必要です。自ら限界を設けているようでは、決して世界の一流にはなりきれません。

 日本企業は「成長の角度とスピード」が決定的に不足しているといってよいでしょう。

 

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