『脅威のプレゼン』シリーズ著者が示す、
TEDの3大プレゼン術

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NHKの「スーパープレゼンテーション」でおなじみのTEDには、聴衆の心を動かし行動へと駆り立てる要素があふれている。その中から3つの重要なポイントを、『スティーブ・ジョブズ 脅威のプレゼン』の著者カーマイン・ガロが選び解説する。


 優れたプレゼンテーションの条件とは何か。聴衆の心を動かして行動へと駆り立てるには、どうすればいいのだろう? 近年、そのよい手本を示しているのは間違いなくTEDである。HBRは2013年6月号で、TEDのキュレーターであるクリス・アンダーソンに寄稿を求め、30年にわたるTEDの講演会から得られる教訓を載せている(英語論文)。

 経験や直感から学べるものもあるが、データや分析から学べるものもある。近年のTEDで最も素晴らしかった講演を150時間分視聴し、多くのTED登壇者に取材し、説得力について研究している神経科学者たちの発見に目を通すことで、我々は何を学べるのだろう? 私はそれを試みた。結果は以下の通りである。

●感情に訴える
 ブライアン・スティーブンソンのプレゼン「司法の不公正について話さなければなりません」は、TED史上最も長いスタンディング・オベーションを受けた。スティーブンソンは人権問題に取り組む弁護士だ。最高裁で争われた「ミラー対アラバマ州」訴訟では、殺人で有罪を受けた年少者に対する仮釈放なしの絶対的終身刑を禁じる判決を勝ち取った。彼こそ、どうやって人を説得すればよいかをわかっている人物だ。

 このスピーチの内容を、アリストテレスが挙げた説得の3要素に沿って分析してみたところ、「エートス」(信頼感の醸成)のカテゴリーに該当するのはわずか10%、「ロゴス」(データや統計)は25%、対して「パトス」(感情への訴えかけやストーリーリング)は65%だった。18分のスピーチの中で、スティーブンソンは主張を補強するために3つのストーリーを語っている。なぜ最初に祖母についての話から始めたのか、と尋ねてみると、答えはシンプルだった――「誰にでも、祖母はいますからね」。そのストーリーは、聴衆とつながりを素早くつくる手段だったのだ。

 感情をかき立てるストーリーは、聞き手に有益な情報を与え、啓発し、鼓舞し、行動へといざなうものだ。職場での日常的な会話のほとんどは、データ中心でストーリーが少ない。しかし主張に説得力を持たせるには、ストーリーこそが必要だ。だからあなたも、自身の経験、あるいはほかの人やストーリー、ブランドについてのエピソードを、プレゼンや売り込みに取り入れてみよう。

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