組織を成長させるため、トップとして
リスクを取る覚悟があるか?

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スマート・グロース(機知に基づく成長)環境では、次代のリーダーは経営トップ自らが有為の人材を発掘し、育てる必要がある。最終回の今回は、リーダー候補を育てる上でトップが負うべき人材戦略上のリスクと、戦略実行にあたってトップに課せられる「覚悟」とは何かを紹介する。

ポテンシャルの高い人材を
発掘し失敗を許容できるか

 人材戦略においては、企業がすべての人材を公平に扱うのではなく、次代のリーダーとなり得るポテンシャルのあるタレントを選抜し、エリート教育を施していくことの重要性を、これまで私は訴えてきた。

 そして思うに、最大の投資は、そうした優れたタレントにさまざまな職務を経験させることである。これは定期的なジョブ・ローテーションとは違う。国や職域を越えて多様なリーダーシップ経験を積ませることに主眼を置いた戦略的な異動だ。そのためには経営トップ自らがタレント・マネジメント施策を主導し、タレントに語り掛けなければならない。

 そこで経営トップが自問すべきは、「組織の将来成長のために、今、人材戦略上のリスクを負う覚悟があるか」ということだ。戦略の実行にあたっては、これまで述べてきたことも含め、経営トップには次に挙げる三つの覚悟が課せられるものと腹をくくっていただきたい。

1 ポテンシャルの高いタレントを選抜し、“特別扱い”する覚悟はあるか

 スマート・グロース(機知に基づく成長)環境では、過去とは比べものにならないスピード感が求められる。そのためポテンシャルの高い人材には、より早期に権限の大きな仕事やチャレンジングな課題に取り組ませ、能力を開発していかなければならない。

 成功体験や失敗体験を早く積むことで、より上位の職務に就く準備ができる。この能力開発は、自身のコンフォート・ゾーン(現状の平穏な状況)を破り、能力を大きくストレッチさせるものであるべきだ。いわゆるタフ・アサインメント(困難な課題の割り当て)や、それまで直面したことのない大きな課題などがあるが、ポイントはいかに本人に合致したものを選択できるか、そしていかに組織が失敗を許容できるかだ。

 日本企業には、失敗したタレントに敗者復活のチャンスを与えることを何よりを求めたい。その決断ができるのは経営トップだけだ。

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