関係性の時代にこそ必要な
マインドフルネス

世界のリーダーに求められるセルフ・マネジメント(第2回)

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トップダウンの組織運営が立ち行かなくなったいま、権力で人を動かすことに限界が見えてきた。組織がネットワークで動く時代、リーダーに求められるマネジメント・スキルが変わり、心の持ち方も変わる。そのようなプレッシャー に対抗する方法として、いま「マインドフルネス」が注目されている。本誌9月号特集「一流に学ぶハードワーク」特集の関連連載(全3回)。

 

リーダーはいかに影響力を行使すべきか

 ビジョンの浸透であれ、業務遂行であれ、リーダーは組織の中で、つねに影響力を発揮する存在であり、また影響力を周囲から求められる存在でもある。人はえてしてリーダーに完璧であってほしいと思いながらも、どこか不完全で親しみやすい面をもっていて欲しいと願う。当然ながらリーダーには強みも弱みもあり、それを周囲はよくわかっている。何ならSNSで会社以外の姿や過去の姿も知ることもできる。かつてのようにトップダウン式で無理やり影響力を及ぼそうとすれば、求心力どころか遠心力が働きかねない。

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IMD教授、ギンカ・トーゲル氏。専門は、組織行動論、リーダーシップ論。日本企業への研修プログラムも担当する。

 IMD教授のギンカ・トーゲル 氏は、「組織が階層構造だった20世紀は、正当性が権力の源であり、権力による管理が可能でしたが、いまや組織はトップダウンではなく、ネットワークで動いています」と語る。組織には公式・非公式を問わずさまざまなネットワークがあり、たとえばワークフローのネットワーク(業務プロセスなど)、アドバイスのネットワーク(暗黙知など)、メンタルのネットワーク(ストレスをうまく緩和するなど)が挙げられる。

 リーダーがすべてのネットワークの中心になる必要はないものの、関わっていなければ、そのネットワークに流れる情報を入手できない。つまり、リーダーはネットワークの便益を重視し、マネジメント・スタイルを変える必要があるというのだ。「ネットワークは必ずしも組織図と合致するものではないため、権力では動きません。代わりに求められるのが、レファレンス・パワー、つまり仕事と人格においてどれぐらい信頼されるか、慕われるかです」

 そのためには、リーダー自身がどれだけそのネットワークに貢献できるかが問われる。ギブ・アンド・テイクでいえば、ギブ・ギブ・ギブ。その成果は、「これについてはこの人に聞け」と何人に言ってもらえるか、といった形で表れ、それがひいては信頼と評判を形成することになる。「部下との接し方、評価方法もおのずと変わります。新しい行動規範のキーワードはROWE(Result Only Work Environment)。成果を求めることには変わりませんが、いつ、どこで、どのように出すかは任せるということです」。部下が成果を出すために、リーダー自身が資源となり、支援し、手助けをする。またそのような行動をさまざまなネットワークに対して行うことで、影響力を広めていくということになろう。「無意識にこのような行動を取っているマネジャーもいますが、たいていはマインドセットの転換に苦労することになるでしょう。これもマネジメント・スキルの一つとみなし、学ぶことが必要です」(トーゲル教授)

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