優等生が陥りがちな時間管理の罠:
少ない労力で最大の成果を出す法

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本誌2014年9月号(8月11日発売)の特集は「一流に学ぶハードワーク」。重責を担いながら仕事と実人生の質を高めるために、プロフェッショナルたちが実践している方法を紹介する。HBR.ORG関連記事第1回は、すべてを完璧にやろうとして時間と労力をうまく配分できない人への処方箋。やるべきことに3段階の優先順位をつけるのが、「INOテクニック」だ。


 ある営業担当者は、売上げトップの同僚についてこう不思議に思った。「私はせいぜい週に5人の顧客に会い、書類仕事をミスなくこなして期限までに提出するので精一杯だ。それなのに、彼はどうやって週に10人もの顧客とのアポイントを確保し、第1四半期の間に年間ノルマを達成できるんだ?」

 あるマネジャーは、出世コースを歩む同僚について次のように考える。「自分はプロジェクト会議に丸1日追われ、たまったeメールを夜に返信するのが精一杯。積極的に部署を引っ張ることができていない。でも彼女は、どうやって週に40時間しか働かずにいて、戦略的なイニシアチブを取り、上級幹部との人脈を築いているのだろうか?」

 彼ら彼女らの成功の秘訣をお教えしよう。少ない労力で一歩先を行く同僚たちは、何が本当に大事かを見極め、そこで力を発揮する半面、その他のことには完璧さを求めない術を体得しているのだ。

 おそらく、営業チームでトップの成績を誇る人が書類づくりに割いている時間は、普通の人の半分以下だろう。その点においてはずさんだが、営業成績がずば抜けてよければ誰も気にしない。上級幹部に一目置かれているマネジャーは、文法的におかしなeメールを書くし、会議への出席を断ってばかりいる。ただし大事なプロジェクトの管理や重要な会議では、誰よりも精彩を放つ。

 ここまで読んで、「そんなのは不公平だ」とショックを受けた人は、完璧主義が推奨される学生時代に成績優秀だった人ではないだろうか。

 筆者も小学6年から大学卒業まで、教師の期待に沿う成績を取るためにあらゆる努力を払ってオールAで通してきた学生だったから、その気持ちはよくわかる。たしかに、完璧主義は学生時代には通用したのだ。非の打ち所のないGPA(成績評価値)は偉業の証であり、幸いにも私の場合はそのおかげで奨学金や採用内定を得ることができた。

 ところが、7年前に自分の会社を立ち上げたら、そのルールは通用しなくなった。すべて完璧を目指すと成功の可能性を狭めてしまうことに気づき、強みに特化すべきだと悟った。トム・ラスが著書StrengthsFinder 2.0で説明しているように、弱点を補おうと努力するより、強みをフルに生かしたほうが大きな成功を収められるのだ。質の高い仕事をするには、どこに多くの時間と労力を使い、どこで手を抜けばいいかを意識することが重要であると気づいた。それが私自身の成功にとっても、困っているクライアントを助けるうえでも大きな効果をもたらした。

 私が時間管理のコーチングをしている大学教授や企業幹部、弁護士などの顧客は、「すべてをこなす時間の余裕がない」という共通の問題を抱えている。それもそのはずである。そんな人などいないのだから。現代社会における仕事のスピードと情報量の多さを考えると、もはや単なる時間管理術では役に立たない。どんなに効率よく仕事を進めても、すべてを時間内に詰め込むことはとうてい不可能なのだ(私はこの難題を解決するため、時間の投資に関する本The 3 Secrets to Effective Time Investmentを執筆した)。

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