「謝り方」は、相手との関係次第で変わる

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間違った謝り方が、さらなる怒りを買う――そんな光景をよく目にしないだろうか。謝罪は、交渉や説得同様、高度なコミュニケーション能力を要する。相手との関係性と状況に応じて、「償い」「共感」「基準の逸脱を認めること」を使い分ける必要があるのだ。


 締め切りまでに終わらせると上司に約束した重要な仕事が、遅れていて間に合いそうもない時。チームのプロジェクトで、同僚の1人を意図せずして蚊帳の外に置いてしまい、不満と不信をつのらせてしまった時。地下鉄で、知らない人の高級スーツに不注意からホットコーヒーをぶちまけてしまった時。さぁ、謝るしかない。

 謝罪は難しい。うまくやれば対立を解消し、心の傷を癒やし、相手を寛容にし、関係を改善できる。謝り方次第で訴訟沙汰を避けられる場合さえある。弁護士はクライアントに対して、謝罪は自分の非を認めることになるからしないようにと警告することが多い。しかし複数の研究によれば、被害者が謝罪を受けると訴訟に至らず賠償額も少なくてすむ傾向にあることがわかっている。

 しかしご存知のように、謝罪がうまくいくことは少ない。たとえばジョン・ガリアーノ(人種差別発言でクリスチャン・ディオールのチーフ・デザイナーを解雇された)、ジョン・エドワーズ(愛人・隠し子騒動で転落した元上院議員)、トッド・エイキン(テレビのインタビューで、女性は"まともにレイプ"された場合はめったに妊娠しないと発言し物議を醸した元下院議員)、カニエ・ウェスト(MTVビデオ・ミュージック・アワードで受賞スピーチ中のテイラー・スウィフトからマイクを奪い、「ビヨンセのビデオこそが最高だ」と発言)など――他に何人でも挙げられるが――に聞けばわかる。謝ったからといって、難局を切り抜けられるとは限らないのだ。

 その理由はたいてい、許しを請われている側に許すつもりがないか、あるいはその罪が許されざるものと見なされているからだろう。ただし、単に「謝り方が間違っている」ために謝罪を受け入れてもらえないというケースも少なくない。

 謝罪する時、ほとんどの人は自分のことについて話す。自分の意図や考え、気持ちなどである。つまりはそれが問題なのだ。

「私は、そんなつもりはありませんでした」
「私はただ、○○しようと思って~」
「私は○○に気づかなかったもので~」
「私にはちゃんと理由があって~」

 あなたが失敗した時、被害を被った相手が聞きたいのはあなたに関する話ではない。だから、謝罪する時は自分のことを話すのはやめて、謝るべき相手にフォーカスしよう。具体的には、あなたの過ちによって相手がどのような被害を受けたか、相手がどのように感じているか、事態を改善するために相手はあなたに何を求めているか、に焦点を置くのだ。

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