組織が危機に陥った時:
社員を鼓舞するリーダーの言葉とは

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危機にある組織を立て直すには、リーダーが全従業員に改革を呼びかける必要がある。その際、どんな言葉や態度ならば1人ひとりを奮い立たせることができるのか。IBMとAOLの2人のリーダーから、改革の呼びかけに関する教訓が得られる。


 会社が苦境に陥っている時、経営幹部は社員から厳しい監視の目で見られ、世間からもあれこれ詮索される。ビジネスリーダーの多くは株価とマーケットシェアが成功の尺度となるが、これらの数値が下がると、だれもがその状況を確かめ、ビジネス記事を読み、CNBCの報道を見る。優れたCEOはそのような試練にどう立ち向かうのだろうか。緊迫した状況で強烈なプレッシャーがかかっている時、従業員たちをどう結束させて協力を引き出すのだろうか。

 私はかつて、航空輸送会社エメリー・ワールドワイド(現在はUPSの傘下)のCEO、ジョン・エメリーのコンサルタントを10年間務めていた。我々は半年ごとにビデオを制作して、世界中の社員に会社の最新情報を伝えた。ある時、同社の株価が急落した。その直後、ジョンと私が恒例のビデオ撮影を行った時、ジョンはまっすぐにカメラを見つめ、何が起こったかを率直に説明し、現在の低迷を逆転させるために力を貸してほしい、と全社員に助けを求めた。私は彼が話した内容を編集したいと思い、もうワンテイク撮ることを望んだが、彼の返事はこうだった。「私は一発撮りの"ワンテイク・ジョン"で通っているし、真実を伝えることが会社の成功に欠かせない時機をわきまえている。我々みんながともにこの逆境にあるのだし、私がいまほど全社員の協力を必要としている時はない」

 そのビデオを公開した時、私は反響の大きさに圧倒された。会社中がこの話題で持ち切りになり、問題を解決するために自分にできることは何かと、誰もが口にした。それまで私は、リーダーがこれほど果敢に誠実であろうとする姿勢を見たことがなかった――そしてこれほどのポジティブな影響も。そして我々は困難を切り抜けた。この時ジョンが見せたリーダーシップは私にとって、危機の克服に社員を巻き込む効果的な方法を示す基準になった。

 最近、私は2人のCEOが同様の状況に対処する様子を見た。1人はジョンの例に倣っていたが、もう1人はそうではなかった。そして2つのエピソードには、誰もが学ぶべき教訓があるように思う。

 2013年春にIBMの株価は、第1四半期の業績不振を受け1日で8.3%下落、この8年間で最大の下げ幅を記録した。CEOのバージニア・M・ロメッティは、よもや就任後わずか1年でこのような状況に直面するとは考えもしていなかっただろう。そこで彼女は170カ国、43万4000人の従業員に向けて全社的なビデオ演説を行い、「目を覚まし、より迅速に、より賢明に、そして一丸となって取り組む」ように語りかけた。マスコミは彼女のスピーチに「叱責」のレッテルを貼ったが、私の見方は違う。ロメッティの明確で率直、かつ挑発的な言葉遣いの意図は、社員を奮い立たせ、重大な問題を痛感させることであり、一致協力して迅速に動くことに社員の全意識を集中させるためのものだった。

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