インド工科大(IIT)での採用活動は、一日勝負。
厳しいルールに縛られた採用競争とは。【第2回】

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企業からの熱い視線を一手に集めているのが、インド工科大学(IIT)の学生。彼らを採用しようと世界中の企業が採用担当者をインドに送り込む。対応するIITでは、独特のルールで企業と学生のマッチングを行っている。アジアで日本企業の採用活動に携わる著者が、IITでの実際の採用活動を語る。

 

プレースメントセンターが主導する、独自の厳格な就職活動システム

前回では、世界中の企業を魅了する「インド工科大学(通称IIT)」についてお話をさせていただきました。

宮武 周平
(みやたけ・しゅうへい)

株式会社リクルートキャリア
新卒事業本部 WORK IN JAPAN推進グループ
新卒でサイバーエージェントに入社し、WEBプロデューサーとして従事。2009年リクルートに中途入社。Media ProducerとしてSUUMOの立ち上げに関わった後、11年4月に今度は世界を舞台に企画をしたいと希望して、アジア圏の新卒学生と日本企業をマッチングする新卒人材紹介サービス『WORK IN JAPAN』の企画担当に。

 今回は、IITの学生の採用についてです。ある日本企業の成功事例を通して、IITの学生採用に関するリアルをお伝えしたいと思います。

「日本企業による外国における新卒採用を支援する」。

 その任務を遂行するため、私が初めてインドに渡ったのは2011年のことです。当初は「日本で働いてみたい人、集まれー!」と、現地でIIT学生に手当り次第に声をかけていき母集団形成を行っていました。そんな中、意気揚々と「せっかくなら大学にも挨拶しておこう!」と、IITデリー校を訪問。すると、出てきた担当者は「最近インドで好き勝手にやっている“ミヤタケ”とはおまえか!」「うちの学生を採用したいならうちのルールを守れ!」と、いきなりお叱りを受けました。

 この時、初めてIITが学生の採用活動に関し厳密なシステムとルールを敷いていることを知ったのです。

 余談ですが、デリーでお叱りを受け、活動の危機を感じた私は「デリーがダメならムンバイにいこう。ムンバイにもIITボンベイ校がある」と思い、ムンバイに飛びました。そこで最初に言われた衝撃の一言は「デリー校の人からミヤタケがきても相手をするなって言われているんだよね、ゴメンね。」といったものでした。この時ばかりは目の前が真っ黒になりました(笑)。念のためお伝えしておきますが、その後の真摯な取り組みによって、今では良好なリレーションシップを築けており、IITの先生方にはとても丁寧に我々のプロジェクトを応援していただいております。

 さて本題に戻ります。IITでは、学生の就職活動および企業の採用活動をプレースメントセンター(就職課)が取り仕切っています。

 IITの学生を採用したい企業は、指定された期日に大学を訪れ、その日に採用選考を行う「オンキャンパスリクルーティング」のスタイルが基本。企業は事前にさまざまな書類を提出し、プレースメントセンターがそれをもとに求人企業を7段階程度のランクに分類します。このスクリーニングの基準は明らかにされていませんが、給与額、企業規模、ブランド力、今後の成長性など、総合的に判断されるようです。

 就職説明会の解禁日は毎年12月1日。初日を「Day1(デイワン)」とし、先のスクリーニングで上位にランク付けされた企業が大学を訪問します。当日は、企業説明会からアセスメント(筆記試験/技術試験/適性検査/即興スピーチ/グループディスカッションなど)、そして面接試験まで実施。そして、企業はその日のうちに内定を出すことを求められます。日本にいる役員の承諾をもらうため数日待ってほしい、などいった悠長なことを言っている余裕はありません。その日1日で学生へのアプローチ~選考~内定までを完了しなくてはならないのです。

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