「新しい可能性」を考える脳を活性化する方法

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「人生がすべてうまくいったら、10年後に何をしているか」。人の脳は、課題や反省点よりも、希望や目標を考える時に前向きな状態になるという。この原理をフィードバックやコーチングに生かす方法を、ゴールマンが提案する。


「あなたの人生がすべてにおいて完璧にうまくいったとしたら、10年後にあなたは何をしているでしょう?」

 この質問によって、私たちは新たな可能性に目を向けるようになる。そして自分にとって最も大切なことや、人生を導いてくれるかもしれない重要な価値観について考えをめぐらせるようになる。マネジャーがこうしたアプローチをチームのコーチングに用いれば、よい結果を得やすくなるだろう。

 意識を開かせるこうした尋ね方と対照的なのが、「自分の何が間違っていると思うか」「自分のどういうところを直す必要があると思うか」などである。こうした質問では思考を発展させることができず、身構えてしまい、成功の可能性も狭めてしまう。マネジャーはこのことを常に念頭に置いておくべきである。業績評価の時は特に注意が必要だ。

「人生が完璧にうまくいったら10年後には~」という質問の出所は、ケース・ウェスタン大学ウェザーヘッド・スクール・オブ・マネジメントの教授で、私の長年の友人で同僚でもあるリチャード・ボヤツィスだ。最も効果的なコーチングの方法に関してボヤツィスが最近行っている研究では、失敗ではなく夢や願望に焦点を当てたコーチングを受けた人の脳に生じる変化を、脳の撮像を用いて分析してきた。そこで得られた知見は、人の(そして自分自身の)成長を助ける最善の方法を示してくれる。

 拙著Focus: The Hidden Driver of Excellenceで、私はボヤツィスの次の言葉を引用した。「ポジティブな目標や夢について話し合うと、新しい可能性に関する思考を司る脳の中枢が活性化する。一方、自分の直すべきところに話題を向けると、意識を閉ざしてしまう」

 ボヤツィスは、クリーブランド・クリニックの同僚たちの協力を得て、被験者の脳をスキャンしながら2種類の面談を行った。1つは夢に焦点を当てたポジティブな内容、もう1つは課題に焦点を合わせたネガティブな内容である。ポジティブな内容の時には、脳の報酬回路と、よい記憶や楽しい気分を司る部位が活性化した。これは、魅力的な展望に対して希望を抱く時の脳の活動である。対照的に、ネガティブな内容の時には、不安を司る回路が活性化した。これは悲しみや困惑を感じている時に活性化する部位である。後者の状態では、不安と防衛的な態度が誘発されたため、成長の可能性に焦点を合わせることが難しくなってしまった。

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