コンピテンシー評価で成果が出ない
企業には何が足りないのか?

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人事評価に「コンピテンシー」を用いる企業が増えたが、一方で導入効果を疑問視する意見も聞こえている。コンピテンシー、つまり「成果に直結する能力」を人材育成や評価に活用することは、本当に無意味なのか。著者は、コンピテンシーが有効に働くためには、二つの条件が不可欠だという。

コンピテンシー・モデルは
随時アップデートせよ

 社員の評価に成果主義を導入する企業の増加に伴い、「コンピテンシー」(Competency)が日本企業の人事施策として定着して久しい。

 だが、その一方で反動も生じていて、最近ではコンピテンシーの終焉説や限界説などもささやかれるようになってきた。

 よく指摘されるのは、「標準化されたコンピテンシー・モデルを、職務や階層を無視して全員に適用することには無理がある」「表面的なビヘイビア(言動)にだけ焦点を当てても成果には結び付かない」などというものだ。その根底には、「コンピテンシーを導入したものの、人材が育たなかった」という意識がくすぶっているように見受けられる。

 では、コンピテンシーは本当に終焉や限界を迎えているのだろうか? 

 私はこうした意見にこう反論したい。「コンピテンシーは、活用方法さえ間違えなければ、現在も今後も非常に有効である」と。

 ただし、それには二つの条件がある。「コンピテンシーを定期的にアップデートすること」と、「コンピテンシーだけに頼らないこと」だ。これら二つを順守していなければ、成果は得られないだろう。

 コンピテンシーは、「成果に直結する能力」と定義される。問題は、「成果」や「能力」が業界や職種、地域、時代などによって違うということだ。

 たとえば、国内事業と海外事業、事業立ち上げと事業再生、規制産業と自由市場とでは、成果を出すために必要な能力は明らかに違う。グローバリゼーション、経済環境やテクノロジーの進化などによりビジネス環境が変化すれば、成功するための行動要件もおのずと変化する。

 つまり、事業環境の変化に合わせてコンピテンシー・モデルも随時アップデートしていくことが必要となる。これが一つ目の条件だ。

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