内向き志向との決別がカギ

外に学んで世界で勝つ

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バブル崩壊以降、日本企業はかつての活力を徐々に衰微させてきた。それぞれの分野で奮闘する企業もあるが、少なくとも相対的には世界におけるプレゼンスは低下している。なぜ、このような事態に立ち至ったのか。どうすれば、再び世界のトップグループに返り咲くことができるのか。P&G幹部として長年、外側から日本を見てきた会田秀和氏が、日本企業がグローバルで勝つためのアプローチを考察する。

大きな潜在力を有効活用すれば
日本企業は再び世界をリードする

会田秀和
元P&G米国本社HR担当
ヴァイスプレジデント

「失われた20年」という言葉がある。この20年間で、企業を取り巻く競争環境は大きく変化した。グローバル化は急速に進展し、新興国市場の存在感が高まっている。デジタル革命は、ビジネスに大きな変化をもたらした。企業の内部に目を向ければ、女性や外国人の登用などを含めて多様性を重視する動きが強まっている。

 当たり前のことだが、世の中は変化している。その変化を見逃したのか、見えないふりをしてきたのか。いずれにしても、多くの日本企業は、変化する環境に対応するための自己変革を先延ばしにしてきた。その結果が、今日の姿である。

 確かに、それぞれの分野で存在感を示すエクセレント・カンパニーは存在する。しかし、かつての日本企業の姿を思えば物足りないし、歯がゆさを覚える。

 個々の日本企業だけでなく、日本経済そのものの活力も大きく低下している。先ごろIMD(経営開発国際研究所)が発表した2014年ランキングを見ると、日本の競争力の総合順位は21位。1990年前後に1位だったことを考えると、悲しくなるような評価である。

 日本企業はもうダメだと言いたいのではない。逆だ。これほど大きな潜在力を持ちながら、それを有効に活用していない。世界レベルの強みを価値に転換できないまま、いたずらに時を過ごしてきた。

 本来の強みを見つめ直して再スタートを切れば、必要な変革を進めれば、必ず日本企業は再び世界をリードすることができる。私はそう確信している。自己紹介を交えつつ、その理由を述べたい。

世界を見て思い知らされた
日本人の美点、日本企業の強み

 山形県の高校を卒業した後、私は米国に渡った。ハワイの大学を経て、ユタ州のブリガム・ヤング大学に転籍。大学では心理学、大学院では組織行動学を専攻した。1979年に大学院を修了し、P&Gに入社した。以後、30年あまりにわたってP&Gで働き、米シンシナティ市にある本社でグローバル人事担当の副社長としての務めを最後に退職した。

 私が社会人として働き始めたころ、日本企業は文字通り世界を席巻する勢いだった。エズラ・ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が出版されたのは1979年である。1980年代を通じて、欧米企業にとって日本企業は脅威であり続けた。

 今振り返ると、当時の私は日本企業の躍進を多少不思議な思いで眺めていた。なぜ、これほど強いのか、どこに競争力の基盤があるのか。月並みな理由を並べてはみるのだが、自分の中で納得感のある解答を得ることはできなかったからである。

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