マインドフルネス:休息と瞑想が、集中力を高める

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「EQ 心の知能指数」の概念を世に広めた心理学者、ダニエル・ゴールマンが集中力の強化法を紹介する。最高のパフォーマンスを発揮するためには、集中作業を4時間以上続けずに休息を取る必要がある。そして集中力を高めてくれるのが、瞑想法の1つとして人気を集める「マインドフルネス」だ。


 アラスカで開かれる世界最長の犬ぞりレース「アイディタロッド」では、選手と犬たちは北極圏の氷上1770キロに及ぶコースを1週間以上かけて走る。以前は12時間続けて走り、12時間休むという戦略を取る選手が多かった。日中走って夜に休息するか、日中は休んで夜に走るかのいずれかだ。

 それをまったく変えてしまったのが、スーザン・ブッチャーだった。獣医のアシスタントだった彼女は、犬の生物学的な限界を熟知していた。4~6時間全力で走らせ、同じ時間休ませるという訓練を犬たちに施し、レースでは昼も夜もそのリズムを繰り返すようにした。そして4回もレースを制覇したのである。

 スーザンが犬たちを訓練した方法は、ほとんどのスポーツでトップ・アスリートたちがやっているのと同じ方法である。すなわち、4時間ほど集中的に練習し、その後休息を取るというものだ。これは、身体が最高のパフォーマンスを発揮するために最も適したルーチンなのだ。

 フロリダ大学の心理学者アンダーズ・エリクソンは、最も優秀なパフォーマーたちを研究している。彼の発見によると、重量挙げの選手からピアニストに至るまで、世界のトップレベルで競争している人たちは、訓練メニューのうち最も厳しいものについては1日およそ4時間に制限しているという。そして休息をメニューの一部に取り入れ、身体的・精神的なエネルギーを回復させている。自分の限界まで練習するが、それ以上やりすぎることはないのだ。

 この「作業・休息・作業・休息」のサイクルは、私たちの脳が最高の集中力を維持するうえでも有効だ(本誌2014年5月号のゴールマンの論文「リーダーは集中力を操る」も参照)。職場では高度の集中によって、自分のスキルをピークの状態で発揮することが可能になる。シカゴ大学の研究者らによれば、人が最高のパフォーマンスを発揮するのは、それが脳外科手術であろうとバスケットボールのスリーポイントシュートであろうと、目の前の作業に完全に没頭している時である。

 最高のパフォーマンスには完全な集中が必要だが、意識を集中し続けるとエネルギーを消費してしまう――専門的に言えば、脳の燃料であるグルコース(ブドウ糖)を使い切ってしまう。休息を取らないと、私たちの脳は消耗していくのだ。気が散ったり、イライラしたり、疲労感を覚えたり、仕事をしなくてはならないのにフェイスブックをチェックしたりするのは、脳が燃料切れを起こしている兆候だ。

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