集中力を高めるには、姿勢を正すこと

流鏑馬(やぶさめ)の達人が語る

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ビジネス・リーダーには、時々刻々と変化する状況を見極めて判断することが求められる。不測の事態への備えを怠らず、いざという時に力を発揮するためには集中力の涵養は不可欠である。馬上から的を射抜く流鏑馬は、まさに最大限の集中力を発揮することが求められている。流鏑馬神事の奉納や礼法指導でも知られる、弓馬術礼法 小笠原流31世宗家の小笠原清忠氏に話を伺った。

正しい姿勢が集中力を高める

――小笠原流礼法では、「立つ・歩く・座る」の基本動作を大切にしておられますね。

 現代の日本人は楽をしようとする人が多すぎます。「立つ・歩く・座る」という基本動作をとっても、なるべく楽な姿勢を取ろうとする人が多いのです。たとえばパソコンに向かってデスクワークを長時間していると、いつの間にか前傾姿勢になっていたりします。この姿勢は楽なようでいて、実際には腰や肩に余計な力がかかっているのです。だから多くの人が肩こりや腰痛に悩まされているわけですね。また、胸を閉じていることで呼吸も浅くなります。そうすると酸素が十分に取り込めず、疲労しやすい体になってしまうのです。
 正しい姿勢を取るのがつらい、疲れるというのは、十分に体が鍛えられていないからでしょう。正しい姿勢とは、どこかに過剰な負荷をかけることなく、自然な動きを生み出すものです。本来、正しい姿勢こそが一番楽な姿勢であるはずなのです。
 立つときには体の重心を意識し、頭を脊柱で支え、脊柱を骨盤で支えていることを意識すれば、腹筋と背筋に自然と力が入るものです。正しい歩き方は、重心を体の中心に置いたまま後ろの足を前に出します。これは腿の筋肉を使わなければできない歩き方です。そして座り方。椅子に座るのであれば浅めに腰をかけて、膝が開かないように足を揃え、背筋を伸ばす。これも腿やお尻の筋肉を使います。こうした正しい姿勢をとることで、自然と必要な筋肉が鍛えられ、人体にとって自然な動きを生み出すことができるのです。

――正しい姿勢を保つことを意識し続けるには、どうすればよいでしょうか。

 伊達政宗が家臣に言った「この世に客に来たと思え」(五常訓の一節)という言葉があります。この世にお客さんとしてきたと思えば、普段の生活のなかでもぴしっとしようと思うのではないでしょうか。客として招かれた家で足を投げ出して座りはしないでしょう。暑くても上着はちゃんと着ているでしょう。そうした心持ちを日頃から持っていることが重要なのです。正しい姿勢を保つことを意識して動くのは大変なことです。いまの若い方などは特に楽をしようとしがちですから、苦手なのではないかと思います。

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