人材戦略を人事部門に
任せきりにしていないだろうか?

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グローバル経済のドラスティックな変化の中、トップ自らが有為のタレントを自社で発掘し、次代のリーダーとして育成する環境をつくる必要性を説く著者(前回参照)は、そのために、企業は経営戦略と整合する人材戦略を推進すべきと提言する。その理由とは。実例に触れながら考えてみたい。

巨額の「人」への投資を
今のままで回収できるのか

 「企業は人なり」――。このことに異論を唱える経営者は少ないだろう。

 では、お尋ねしたい。「経営の基本である人材」に直接責任を負うのは誰の仕事だろうか。採用から育成、配置、昇進・昇格、異動、処遇、退職……といったライフサイクルに、いったい誰がすべての責任を持つべきなのだろうか。人事部門、所属部門の上司、もしくは研修会社、コーチ、コンサルタントといった外部機関なのか。

 私はこう断言する。人材に対して究極的な責任を負うのは、CEOをはじめとする経営トップであると。

 経営戦略とは、言ってみれば、現在地から目的地へと向かうための地図やGPSにすぎない。道筋、代替ルート、予測到着時刻などは示してくれるかもしれない。だが、実際に移動するためには乗り物、それも旅の途上で故障しない頑強な乗り物が必要となる。

 これが、まさに「人」なのだ。そして、人材戦略は経営戦略と整合してこそ意味を持つ。

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出所:コーン・フェリー資料

 

 あなたの会社では、経営戦略を策定するために割くのと同様の時間と労力を人材戦略にも割いているだろうか。ビジネスのパイプラインを精査するのと同様に、人材のパイプラインにも目を凝らしているだろうか。

 私はこう考える。人材戦略に入念な準備が必要な理由、それは、ビジネスとは「人」そのものにほかならないからだと。

 「Fortune Global 500」に名を連ねるような大企業はもちろん、多くの企業で事業運営に掛かるコストの約7割は人件費だ。この巨額の投資を最大まで回収するためには、優れた人材戦略を構築しなければならない。しかし、残念ながら、右肩上がりの経済を想定してつくられた旧来の年功序列型人事制度では、もはやそれを達成することは不可能である。 

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