フェイスブックの奇跡の10年から学ぶ、
スケールアップの教訓

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フェイスブックの成功の1つに、迅速かつ効果的なスケールアップ(規模拡大)が挙げられる。10年で奇跡的な成長を遂げたのは、創業当初から「マインドセットの共有」を徹底させてきたことが一因であるという。同社の拡大をつぶさに観察してきたスタンフォード大学教授のロバート・I・サットンが、その成功要因と教訓を示す。


 フェイスブックは2014年2月4日に10周年を迎えた。10年前のこの日、当時はハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが「ザ・フェイスブック(学生名簿)」というサイトを開設。その数日後には、同校の学生新聞であるハーバード・クリムゾン紙が「新しい学生名簿サイトに数百人が登録」という見出しの記事を掲載している。その第1文は、「マーク・E・ザッカーバーグ(2006年卒業予定)はハーバード大学当局による公式フェイスブックの完成が待ちきれず、みずからサイトをつくってしまった」。この時点での登録者数はすでに約650人。現在10億人以上のユーザーと数千人の社員を抱え、時価総額1000億ドルと評価されるSNSサイト運営会社は、こうして激動の道を歩み始めた。

 偶然にも、2014年2月4日はハギー・ラオと私の共著Scaling Up Excellence (未訳)の刊行日でもある。本書では、企業が自社の核となる優位性を特定し、その規模を世界に広く拡大(スケールアップ)する際に生じる課題を取り上げている(詳しくは私のブログScaling: The Problem of More 〈未訳〉も参照)。この偶然の一致を我々は素直に喜んだ。なぜなら我々がスケールアップに関する考察を始めたのは、フェイスブックの社員と初めて対話を交わしたのがきっかけだったからだ。それ以来、この“クレイジーな”組織から多くのことを学ばせてもらった。

 2006年の初め、ディエゴ・ロドリゲスと私は、スタンフォード大学d.スクール(デザインスクール)で「連鎖作用の創造(Creating Infectious Action)」というクラスを教え始めた。教室の後ろのほうに、ケイティ・ゲミンダーという女性が座っていた。彼女はフェイスブックという会社の製品担当責任者で、上司は21歳だと言う。会社が急成長しているため、パロアルト中心部のオフィスビルを借りるのが追いつかないと嘆いていた。優秀なエンジニアとデザイナー、ビジネス人材を早急に必要としているが、採用基準はかなり厳しい。仕事の難易度は高く、一種独特な雰囲気の職場であるという。

 数年後にケイティはフェイスブックを去ったが、その前に彼女のチームはこのクラスのプロジェクトのスポンサーになってくれた(プロジェクトの内容は、当時フェイスブックを利用していなかった特定の層――たとえば40歳以上の世代、中小企業の経営者、都市部から離れた地域に住む人々――を対象に、フェイスブックをいかに普及させるかというものだった)。

 言うまでもなくフェイスブックは成長を続け、我々もその動向から目が離せなくなった。同社の成功から、他の組織にも生かせる教訓を学ぼうとしたのだ。そして我々が得た最大の教訓は、次の通りだ。「スケールアップを成功させるには、単に“できるだけ早く、できるだけ広く”規模を拡大するだけでは不十分である。成功のカギは、規模拡大の過程で“マインドセット”を組織全体に行き渡らせることである」

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