旧来型組織の殻を破る
有能なリーダー候補はどこにいる?

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日本は世界のパラダイム・シフトから取り残されている――。ますます先の読めない時代、「旧来型の日本企業からは、世界に伍して戦える人材や組織は生まれない」と言う著者は、創意工夫でグローバル化の波を乗り切る次代のリーダーをどう育て、その仕組みをどう構築するか、経営トップ自らが考えるべきと提言する。今回から6回にわたり、その実践方法を紹介する。

外で起こっている劇的変化を
直視できない「居心地よい日本」

 今世界で最も大きな変化が生じている地域、それは間違いなくアジアの新興諸国だ。中所得者層の急拡大、消費の活発化。アジアの新興諸国は「世界の工場」から「消費の中心地」へと短期間に大変貌を遂げた。しかし、約15年にもおよぶ成長期を経て、ここ数年その成長スピードに陰りが見えてきた。

 少子高齢化に起因する国内マーケットの縮小を見越して、これまで多くの日本企業がアジアマーケット重視の姿勢を打ち出してきたが、ますます先の見えにくい時代を迎え、日本企業がいよいよ自らの「殻」を破らざるを得ない状況が生じている。

 私はアメリカ出身だが、縁あって足かけ25年にわたって日本に住み、ヒューマンリソースの実務や組織のリーダー育成の仕事に携わってきた。常々思うが、この国のクオリティ・オブ・ライフには驚かされるばかりだ。あらゆる面において洗練されており、細かな配慮が行き届いている。アメリカやシンガポールでの勤務から日本に戻るたび、まるで故郷に帰ったような安心感すら覚える。

 ただ、この居心地のよさが、ビジネスに関してはマイナスに作用している面があることも事実だ。

 冒頭にお話ししたように、アジアの新興諸国をはじめ、世界ではパラダイム・シフトが起きている。その変化から、日本は取り残されているかのように感じることがある。

 Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑さ)、Ambiguity(曖昧さ)の頭文字を取った「VUCA」という言葉は、混沌として先が読めない世界を指すが、グローバル化の進展やテクノロジーが加速的に進化している現在のビジネス世界はまさにVUCAである。そこでは過去の成功体験はあまり意味をなさない。にもかかわらず、日本企業は過去の成功法則をいまだに信奉しているかのように思えてならないのだ。

 グローバル化の波は日本にも着実に押し寄せている。これは根本的な変革を生む契機として、むしろ素直に歓迎すべきだと思う。しかし、このことを正面から受け止め、環境の変化に合った成長の仕組みを内に取り込もうとしている企業は一体どれほどあるだろうか。

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