ピクサーとディズニー映画を成功させた
エド・キャットムルのマネジメント

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世界最高峰のクリエイター集団、ピクサーとディズニー・アニメーションを率いるエド・キャットムルのインタビュー記事をお届けする。創造力の源泉としてディズニー全体で重視されているのは、統合による効率化とは真逆の「各部門の独自性」であるという。

 

 エド・キャットムルは、ピクサー・アニメーション・スタジオの共同創設者として長年トップを務めている。1986年創設の同社は95年に『トイ・ストーリー』が大ヒットするまでの10年間、苦難の道を歩んできた。2006年のディズニーによる買収で、キャットムルはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー両社の社長となった。

 彼は2008年にHBR論文"How Pixer Fosters Collective Creativity"(邦訳は本誌2008年12月号「ピクサー:創造力のプラットフォーム」)のなかで、創造的企業の経営について語った。そして新著Creativity, Inc. (邦訳は今夏ダイヤモンド社より刊行予定)では、同テーマについてさらに考察を広げている。以下は、私(『メイキング・オブ・ピクサー』の著者)がキャットムルに行った電話インタビューを編集・要約したものである。

――ウォルト・ディズニー・カンパニーという巨大企業では、いくつかの分野で活動が重複していますね。ピクサーは当然コンピュータ・アニメーションをやっていますが、ディズニー傘下のインダストリアル・ライト・アンド・マジック(ILM)も同様です。こうした状況で、技術やプロセスを共通化しなければならないという圧力は生じるのでしょうか。

 昨日、ディズニーのさまざまな部門で働く技術スタッフ250人による会議が開かれました。そこにはピクサーはもちろん、ウォルト・ディズニー・アニメーション、ウォルト・ディズニー・イマジニアリング(WDI:テーマパークの企画開発部門)、ILM、ディズニー・インタラクティブ(ゲーム部門)、そしてESPNの面々が集いました。こういう会議では、8年前にウォルト・ディズニー・アニメーションを率いることになったジョン・ラセター(ピクサーおよびディズニー・アニメーションの最高制作責任者)と私が持ち込んだ方針が守られます。ほとんどの会社では、こんなふうに事が運ぶはずです。「この2つの事業は似通っている。ならばツールと作業工程、つまり仕事のやり方を統合しよう。両者のR&Dも統合して、重複を避けよう」

 我々は正反対のアプローチを取りました。各部門にこう告げたのです。「他部門のツールに目を向けて構わないし、気に入ればそれを使ってもいい。しかしそうするかどうかは、完全に自由裁量でよい」と。各部門にはそれぞれ違うアイデアを持つ開発グループがいますが、我々が「他者のアイデアを取り入れる義務はない」と告げたことで、むしろ互いに自由に話し合えるようになったのです。

 基幹のハードウェアやソフトウェアを含め、すべては変わりゆくものです。したがって我々にとって最善なのは、それぞれのグループが異なるアイデアを追求し、その後に共有もできるという状態です。これは、より迅速に動くためにも役立ちます。

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