挑戦にリスクがともなうのは当たり前
29歳の新社長は「考えながら走る」

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入社からわずか1年半でミニット・アジア・パシフィック社長に就任した迫俊亮氏。与えられたポジションで大きな成果を上げ続けたその裏には、マザーハウスで培ったベンチャー精神があった。現場に足を運ぶことからビジネス・チャンスを見つけ、リーダーシップを発揮して描いたプランを着実に実行する。リスクを恐れず「考えながら走る」ことの意義が語られる。全5回。

オーストラリア、シンガポール、海外事業の立て直しからスタート

――ここからはビジネスのお話を聞かせてください。当初から社長就任が前提の人事だったのでしょうか。

迫 俊亮(さこ・しゅんすけ)
ミニット・アジア・パシフィック株式会社 代表取締役社長。
1985年3月25日福岡県生まれ。2007年8月、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会学部卒。2008年4月、三菱商事株式会社に入社。2008年9月、バック・アパレルの製造小売ベンチャーである株式会社マザーハウスの創業期に参画し、日本での事業拡大、中華圏への進出等に従事。2013 年1月、ミニット・アジア・パシフィック株式会社に入社。東南アジア・中国事業の立て直しを経て、2013年7月より経営企画部長兼海外事業統括部長として営業・マーケティング体制の再構築に従事。2014年1月、同社常務執行役員営業本部長 兼 海外事業統括部長に就任。2014年4月1日、同社代表取締役社長兼営業本部長に就任。世界経済フォーラム(ダボス会議)による Global Shapers に日本の若手を代表するリーダーとして選出。

 いえ、私は海外担当、グループ統括マネジャーという役職で入社しています。採用された時点では、社長就任のお墨付きなんてまったくありませんでした。いまでも覚えていますが、一応、最初の1週間は日本に出社したんですね。そのとき、本社の社員の前で社長が私の紹介をしてくれたのですが、「迫さんは海外の仕事をします。そのため、日本にはほとんどいないと思いますが、皆さんよろしくお願いいたします」と言われました。そうしたら、1年半後に社長になってみんなびっくり(笑)。やるからには社長を目指そうと思っていましたが、さすがに1年半というスピードでなるなんて、自分でも予想外です。

――入社から約1年半、なぜそのスピードで社長になれたと思いますか。

 おそらく、海外事業を立て直したことが大きいと思います。最初の2ヵ月間、私はオーストラリアで働いていました。アジアでは、日本とオーストラリアの売上が大きいのですが、オーストラリアのビジネスモデルは日本と異なるんです。靴修理だけではなく時計修理や刻印サービス等の総合的なサービスを行っています。また、直営店ではなく、フランチャイズが主でした。いろいろと勝手が違っていたため、日本側から見ると、オーストラリアのビジネスはよくわからない状況にあったんですね。

 そのため、何がオーストラリア事業で成長のドライバーになっているのかをひも解くことから始める必要がありました。そのうえで、そのなかで日本に活かせるもの、あるいは、マレーシアや中国でも活かせるもの見つけ、グローバルでリソースを共有することが私のミッションです。これが成功して、これまでブラック・ボックスになっていたものを明らかにすることができました。

 オーストラリアの次はシンガポールとマレーシアで働いています。当時、東南アジア事業はクローズ寸前でした。長年の減収減益、かつては30あった店舗が10店舗にまで縮小していたため、シンガポールの事業は閉じようかとまで言われていたんですね。ただ、現場を見てみなければわからないと「とにかく1日だけ行かせてくれ」と現地を訪問しました。

 そうして実際に現場を見てみると「いけるな」と思えたんですよ。グダグダだったんですけど、なぜそうなっているのかが明確でした。在庫が管理されていない、QSC(Quality, Service, Cleanliness)が不十分、従業員のインセンティブシステムがおかしい……問題は山積みでしたが、1つひとつがシンプルだったので、全部解決すれば絶対に伸びると確信しました。

 そこで、帰りの飛行機の中で計画書を書いて、当時の経営陣に「東南アジア事業の再生をやらせてください」とお願いして、シンガポール駐在を取付けました。結果的には、そこから4ヵ月で既存店売上は約120%、半年で約130%まで伸ばすことができました。10年近く右肩下がりだったなかでの成果だったので、これがおそらく大きかったと思っています。

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