「顧客中心の文化」を構成する7つの要素

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顧客志向は、実のところ、業績にどう関連するのか。シリコンバレーのコンサルティング企業、マーケティング・ストラテジーズによれば、7つの要素で構成される「顧客中心の文化」は売上げの拡大から新製品の成功にまで貢献するという。本誌2014年6月号(5月10日発売)の特集「最強の組織」関連記事、第4回。


 自社がお粗末な顧客体験を提供して苦情を受けた時、あなたはどうするだろうか。顧客を無視し、ひどい場合は顧客のほうを責めて、永遠にその顧客を失うか。あるいは、問題を修復して信頼を獲得するか。あなたや他の従業員がどのように対応するかは、会社がどれほど「顧客中心の文化」(customer culture)を持つかに左右される。

 真に顧客中心主義の企業では、すべての従業員が(その役割にかかわらず)、ある信念に基づいて意思決定と活動を行っている。それは「顧客にとっての最善は、企業にとっての最善である」というものだ。顧客中心の文化が強ければ業績を向上させ、市場戦略を強化することが実証されつつある。我々マーケットカルチャー・ストラテジーズは、さまざまな業界・職種にわたる150社以上を対象に定量調査を行った。そこから、顧客満足、売上げと利益の拡大、イノベーション、新製品の成功につながる「顧客中心の文化を構成する7つの要素」を見出した(英文PDF)。これらは将来の業績を予測する指標として重要であり、また既存顧客の維持および新規顧客の獲得に関するリスクと機会も示すものだ。アマゾンやヴァージン、セールスフォース・ドットコムなど、高度な顧客中心主義を持つ企業を研究したところ、これらの要素が実行され社内に根付いていれば、顧客に大きな価値がもたらされ、株主価値は持続的に向上することがわかった。どの企業でもこの7つの要素を測定し、他社と比較することが可能である(詳細はこちらの英文サイトを参照)。

1.顧客インサイト:現在の顧客のニーズを深く理解しているか

 ジョージア州にあるシャトー・エラン・ワイナリー&リゾートは、特上のサービスを提供する。ブドウ園の中の安らぎに満ちたこのリゾートでは、どんなリクエストであろうと「承知しました」の言葉で応じられる。レストランの予約やタクシーを頼みたい時、あるいは部屋に追加のタオルが欲しい時、(担当を問わず)どのスタッフにも頼めるようにしてほしい――そんな顧客のニーズに気づいた同社では、この発見が全スタッフへの権限移譲につながり、チームとして協力して働くことで顧客の求めに素早く応じられるようになった。

2.顧客ニーズに関する先見性:顧客が自身のニーズの変化に気づく前に、新たなサービスを開発し市場をリードできるか

 セールスフォース・ドットコムは、工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SBD)をはじめとする自社の顧客企業が、どのようにイノベーションを行い、市場をリードしようとしているかを考えている。たとえば、SBDの保守サービス担当者が、彼らの顧客の問題を遠隔地でも診断し、解決できるような技術を開発した。SBDの顧客はセールスフォース・ドットコムのプラットフォームを利用して、解決したい問題をスマートフォンで動画配信し、SBDはそれを見ながらリアルタイムで保守サービスを提供できる。他に、バッテリーの交換時期を自動的に通知するパワードリルや、遠隔操作による道具箱の施錠・解錠、いくつもの現場で使われている工具の所在地の追跡ができるサービスもある。どれも建築業者の生産性を高めるものだ。セールスフォースがこうした技術を創造できたのは、顧客に関する先見性を持っているからである。

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