コラボレーションを成功させるには
「健全な緊張」が欠かせない

マーサーCEOに聞く 高業績を生む組織の要件(前編)

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2014年6月号(5月10日発売)の特集は『最強の組織』。あらゆる企業は業績を上げるために試行錯誤しているが、それに成功している企業とは、どのような組織なのか。組織や人材マネジメントを中心としたコンサルティング・ファームとして知られるマーサーのグローバルCEO、フリオ・ポルタラティン氏に話を聞いた。全2回。

首尾一貫した戦略と迅速な意思決定がカギを握る

――どのような組織が高業績を維持しているのでしょうか。

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Julio Portalatin
(フリオ・ポルタラティン)
マーサー社長兼CEO。1959年生まれ。ホフストラ大学卒業。オールステート保険を経て、AIGに入社。AIGヨーロッパの社長兼CEOをはじめ、同グループにおける数々の要職を歴任した後、2012年1月より現職。マーサーの親会社であるマーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズの執行役員も務める。

 成功している企業はいずれもグローバルな事業展開を行っている、あるいは視野に入れている企業です。世界の透明性が増し、ローカル市場は飽和しつつある状況下で、次なるステップとしてグローバル展開を視野に入れるのは、当然の帰結です。
 そこで重要になるのが、ローカルからグローバルへ、いかに移行するか、という点です。うまく移行できれば勝ち組になれますが、移行に苦労していると動きが鈍くなり、しばらくの間は業績が低迷してしまう結果を招きます。なかには、しびれを切らしてグローバル化をあきらめてしまう企業もありますが、成功する企業は必ず「世界中のどこに行っても変わらない存在意義」を持っています。失敗する企業は、それが確立していないために、首尾一貫した戦略を立てることができずにいます。
 戦略は理念に基づいて打ち立てられますが、戦略というのは頻繁に変えるものではありません。グローバル展開の際に、その戦略を変えようとすると会社としての一貫性が失われてしまいます。戦略の下には戦術があります。グローバルの戦略は変えずに、ローカルの戦術を各国の状況に合わせて変えることこそが成功の秘訣なのです。高業績を収めている企業ほど、一貫した戦略を堅持しています。

――戦略に次いで大切になるのは何でしょうか。

 確かな戦略があっても、機敏に動くことができなければ成功することはできないため、意思決定のスピードが重要な要素となっています。成功している企業の大半は、大所高所からの視点と具体的に的を絞った視点の2つを兼ね備えています。
 近年は技術を武器に躍進している企業が、多く生まれています。イノベーションを繰り返し、機敏に動くことでビジネス界でのプレゼンスを高めている企業です。日本でもIT企業を中心に、カリスマ的リーダーが誕生し、グローバルでも存在感を強めています。楽天やソフトバンク、DeNAなどが有名ですね。

 意思決定の話に戻りますが、迅速な意思決定を行うための仕組みとして、その権限を集中させるのか、分散させるのかといった議論があります。高業績を収めている企業では、グローバル戦略などの意思決定は中央集権的に行っています。その一方で、機敏性を担保するために、ローカル戦術については、最もクライアントに近いレベルまでその権限を委譲しています。使命や価値観、戦略というのは組織全体にかかわるものですので、中央が組織としての決定を行いますが、それを実行するにあたっての意思決定はローカルに任されるのです。
 人材マネジメントの面で言えば、欧米と日本の違いもあります。欧米ではパフォーマンスを最大化するため、それぞれに与えられた役割、具体的な仕事が明確です。そのため、職務記述書に則ってスペシャリストを外から雇ってくる方式が取られます。一方、日本ではそうしたやり方ではなく、企業内での経験を高めることでジェネラリストを育成しようとする傾向が見られます。スペシャリストとジェネラリストは、どちらも必要な存在です。欧米の役割主義、日本の年功序列に基づく能力主義はそれぞれ、こうした人材を獲得するのに適した制度となっています。

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