スターバックス、グーグル、アリババ
銀行は破壊者にどう立ち向かうか

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破壊的なデジタル技術を引っさげた通信事業者や小売企業が、銀行業界を侵食している。従来型の銀行が対抗するには、デジタルをうまく活用して人々の消費生活に深く入り込む必要があるという。アクセンチュアの専門家が世界の事例を紹介する。本誌2014年5月号(4月10日発売)特集、「アナリティクス競争元年」の関連記事第5回。


 コンピュータ会社のアップルがアメリカ最大の音楽販売業者になるまでに、わずか5年しかかからなかった。世界最大になるまでにはたった7年。検索エンジンのグーグルは、モバイル用の地図アプリをリリースしてから18カ月という短期間のうちに、他の大手GPS企業の株式時価総額を85%も減少させた。中国におけるアマゾンのような存在であるアリババは、3年も経たないうちに160億ドルを融資する企業となり、またわずか7カ月で中国最大手のマネーマーケット・ファンド販売業者となった。

 企業は成長を求めて他業界への進出する。その頻度は高まるばかりだ。2014年のダボス会議で我々アクセンチュアが発表したアンケート結果では、60%の企業が今後5年間に提携やジョイントベンチャー、買収などを通じて他業界への進出を考えていると回答している。

 このことは、銀行業界に大きな挑戦状を突きつける。先進諸国の銀行業界の成長力と収益力は、いまだに世界金融危機以前の約半分だ。銀行が回復を目指す一方で、ノンバンクが勢いを伸ばしている。デジタル・イノベーションを積極的に進め、銀行のバリューチェーンをどんどん浸食しているのだ。アクセンチュアの推定では、2020年までに従来型の銀行の売上げの3分の1がノンバンクに奪われる可能性がある。

 そのなかで最も競争が激しくなりそうな分野は、従来型の銀行の売上げの4分の1を占める決済業務だ。オンライン決済では、ペイパルが数カ国でトップの地位を占めている。スクエアやストライプなどの新興企業も、数十億ドルの株式評価額を得るまでになっている。小売企業もこの分野に進出を始めている。アメリカ国内のスターバックスでは、売上げの3分の1が同社のロイヤルティカードによる支払いである。

 ノンバンクは当座預金や普通預金などの中核分野にも進出しようとしている。グーグルは最近、〈Googleウォレット〉対応のデビットカードを発表した。Tモバイルは、スマートフォンアプリとATMカードによる当座預金サービスを立ち上げた。ウォルマートはアメリカン・エキスプレスと組んで、引き落とし口座のように機能するプリペイドカードを導入し、1年も経たないうちに100万人以上のユーザーを獲得した。

 大手テクノロジー企業や通信企業、小売企業がこのような積極的な展開を見せているとしても、すべての商品・サービスで銀行と正面から競い合うにはまだ時間が必要だ。規制による障壁もこの破壊的勢力の行く手を阻むと考える向きも多い。しかしこうした新規参入者たちは、サービスへの期待値を高め、銀行と顧客との距離を引き離すことにより、すでに銀行に脅威を与えている。

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