マーケティング・ストーリーをつくるのに
製造部門も巻き込め

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統合マーケティングの第一人者が「売れる仕組み」づくりを解説する連載。今回は、消費者や売り場だけでなく、商品のつくり手でもある製造や開発部門も入れたマーケティング・ストーリーづくりの重要性を説く。

 

「売れ続ける仕組み」をつくる上では、消費者だけではなく、ステークホルダー全体を俯瞰して、全員がwin‐winの関係を結ぶことができる骨太のストーリーを描くことが必要です。前回は、消費者に影響を与える売り場(流通)と世の中(メディア)について主に解説しました。しかし、ステークホルダーはこれだけではありません。

マーケティングプラン作りに製造部門を巻き込む

 解説の前に、まずみなさんに問題です。

 ある食品メーカーA社が新商品を打ち出そうと、エージェーンシーB社と、エージェンシーC社に対して、「チルドスイーツ」の新商品戦略に関する提案を求めました。

 B社は、市場調査を通じて消費者インサイトを細かく分析して、潜在的な消費者ニーズを探り出し、完璧と思われる新商品コンセプトを提案しました。C社のプランも、消費者に響くコンセプトではありましたが、B社の方が、グループインタビューの結果ではより消費者ニーズを捉えていました。

 ところが、A社は、B社ではなくC社のプランを採用しました。なぜでしょうか。

 実はここには、エージェンシーが陥りがちな大きな落とし穴があります。メーカーで実際にモノづくりに携わっている読者の方はピンときたかもしれせん。

 マーケティングは、消費者ニーズに即したコミュニケーション戦略に偏りがちですが、決してそれだけでは商品を世の中に送り出すことはできないのです。

 今回のケースでは、製造部門の事情が障壁となりました。あたりまえのことではありますが、そもそも、既存のラインで製造可能か?原料コストは?原価率は?・・・など、商品開発においては消費者のニーズ以外にも、現実的に調整すべきことがたくさんあります。今回採用されたC社は、既存の製造ラインの稼働状況や生産可能なパッケージ、容器などについて、事前にA社にヒアリングをしていたのです。

 どんなに素晴らしい新商品プランがあっても、その商戦時期である夏に間に合うように、適切なラインを確保できなければ意味がありません。B社のプランは、消費者のニーズをうまく汲み取り、画期的とも思われるプランでしたが、現有の製造設備での生産が不可能で大規模な新規の設備投資が伴う、いわゆる「絵に描いた餅」だったのです。

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