他にないものを作れば、
世界中から発注がくる

Cerevo代表取締役 岩佐琢磨氏インタビュー (前編)

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ベンチャーと聞くとネット系の企業を想起する方も多いだろう。しかし近年、小規模な企業でもハードウエアを製作することが可能になってきた。そのような変化を受け、ハードウエアをつくるベンチャー企業が登場している。Cerevoもその中の一つである。ニッチでグローバルな市場を狙う同社の戦略について、代表取締役の岩佐琢磨氏に話を伺う。

家電はいま、レゴブロックのようになっている

――Cerevoを設立した経緯について教えてください。

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岩佐琢磨 (いわさ・たくま) 2003年から松下電器産業(現パナソニック)株式会社にてネット接続型家電の商品企画に従事。 2007年12月より、ネットと家電で生活をもっと便利に・豊かにする、という信念のもと、ネット接続型家電の開発・販売を行う株式会社Cerevo(セレボ)を立ち上げ、代表取締役に就任。 既存のビデオカメラをライブ配信機能付きに変えてしまう配信機器『LiveShell』シリーズなどを販売。

 これまでインターネットに繋がっていなかったものとネットが繋がれば、利便性が増し、生活に破壊的な影響を与えられるのではないか。インターネットが登場した当初からそのような思いを持っていました。そこで、家電とネットを組み合わせ、世の中になかったものを作りたいと思い、Cerevoを立ち上げました。

 大手メーカーのものづくりでは、失敗する可能性が低く、かつ100億を売るには何をつくればいいか考えなさいと言われます。私たちはそれとは逆の戦略を取っています。マイナーでもいいので、世界に一つだけの製品をつくって世界で売る。製品は尖ったものが多く、国内の市場だけをみれば小さいですが、世界中で一定のニーズがあるものを作っています。

 世の中に42インチのテレビがあるときに、次に50インチのテレビをつくるぞ!といってベンチャーを立ち上げても、大手メーカーにかないません。彼らの方がその派生形をつくるのは上手いはずです。私たちはニッチだけれども、世界でニーズがあり、既存の延長線上にないものをつくっています。

 2000年代半ばから、小さなメーカーでもものづくりが可能な状況が出来てきました。10人くらいの会社でも世界の10か国、20か国に販売できるオリジナルのハードをつくれる見通しが立ち、売れる環境が整ったと感じたのです。これが会社を立ち上げようとした主たる理由の1つです。

――小規模でもハードウエアをつくれるようになったというのは、具体的にはどのような変化が起こったのでしょうか。

 背景には、モジュール化、仕入れや交渉の容易化、新技術の値段の低下、工場数の増加という順に、4つの変化が進んだことが挙げられます。

 第1段階の、モジュール化が進んだというのは、家電がデジタル化しLSI(半導体集積回路)の集合体となり、Wi-Fiなどの複雑な機能はモジュールという部品にして販売され、誰でも買えるようになったのです。電波を出すものは開発が難しく、手間とお金が必要で、専門の電波技術者がいないと作ることが困難でした。小さな会社ではBluetoothやWi-Fiを使う製品を作り辛かったわけです。しかし、いまならパーツを買ってきて、はんだ付けをすればいいだけです。一番難しい部分は買ってくれば済みますし、どこでも誰でも手に入れられる状況が整っています。BluetoothやWi-Fiなど各国の電波の基準に合わせたモジュールを、メーカーが量産してくれるようになったのは2000年以降です。これら電波規格が携帯への搭載やその後のiPhoneの登場などで世の中に定着してきたことで、モジュール生産がビジネスとして成り立つようになりました。

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