NYタイムズはビッグデータの「ビジュアル化」でいかに洞察を引き出したか

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本誌2014年5月号(4月10日発売)の特集は、「アナリティクス競争元年」。組織を「データ巧者」にするさまざまな方法と事例を紹介する。HBR.ORGからの関連記事の第1回は、ソーシャルメディア上のデータを分析・視覚化して洞察を引き出したニューヨークタイムズの例を取り上げる。


 データのビジュアル化は、いまや最も目を引く芸術表現の1つとなっている。作品のいくつかは、ニューヨーク近代美術館をはじめ世界中のアート展にもお目見えするようになった。その一方で、ビジネスリーダーたちはこんな疑問を持っている――データのビジュアル化は、はたしてアクションに結びつくのだろうか?

 答えはイエスであると、私は考える。ニューヨークタイムズ研究開発室の常勤研究員として、私は世界で最も先進的なデジタル研究開発チームの1つと協力し、ビッグデータから実行可能な洞察を引き出す方法を研究している。

「ビッグ」とはどの程度かというと、実に膨大な量だ。ニューヨークタイムズに言及しているすべてのツイートとリツイート、そしてツイッターとフェイスブックで本紙記事にリンクされているすべての短縮URLへのクリックを記録する。それらを、ユーザーが本紙のサイトに来て何をしたのかを示す閲覧履歴と組み合わせる。このプロジェクトは、広く知られる「情報のカスケード」(ある意見の真意が精査されずに賛成意見の滝が形成されること)のコンセプトを用いたものである。カスケード2.0のようなものだと思ってもらえればいい。

 取り組みの目的は、ネット上のカスケードや会話がどんな時に本紙コンテンツの大量消費につながるのか(もしくは、つながらないのか)を理解・予測するためである。そして、より重要な関心事項として次の点にも着目している。クチコミが読者数や定期購読、広告収入にどのような影響を与えるのか。そうした会話に本紙がどう参加すれば、ユーザーとのつながり(エンゲージメント)を強化できるのか。つながりを増やしてくれる、本当に影響力のある読者をどう見分けるか。本紙はそうした影響力のあるユーザーとどう関われば、彼らのニーズ・関心に応えることができるのか。これらを統計解析した結果は、芸術的で美しいリアルタイムのデータストリームに表すことができる。

 ストリームの取り扱い、セッションのアーカイブ化、情報の格納や操作は、それ自体が非常に困難な作業である。だがもっと難しいのは、美しいビッグデータを、実行可能で意味のある、意思決定に役立つ知識に変換することだ。そして我々は、その知識を得るうえでビジュアル化が最も重要な道しるべの1つとなることを発見した。統計解析においてどこで何を探すべきかを知るために、ビジュアル化は不可欠だったのだ。

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