感情の論理:熱狂の生まれるところ

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消費者を熱狂させるにはどうすれば良いか。ビジネス本では語られない「ヒトの感情」について、急速に注目を集める不思議な名前の脳科学者が現れる。異端の経営コンサルタントが岩井克人氏との対談から、新しい競争戦略を探る。

 

情に棹させば流される

小栁 祐輔
(こやなぎ・ゆうすけ)

博報堂コンサルティング
東京大学経済学部卒業。同大大学院経済学研究科修了。(修士論文指導教官:岩井克人教授) 大学院修了後、Credit Suisse証券投資銀行部門入社。その後、PEファンドにて、投資先企業の取締役としてバリューアップ業務に従事。米系戦略コンサルティングファームMonitor Groupを経て現職。

 我慢しなければならない。どんなに悔しくても、怒りがこみ上げても、大人には笑顔を作らねばならない場面がある。家族を背負えば猶更である。そうして笑った顔は醜い。感情を抑えることが出来ないことが、ひきつった目つきにも表れる。それが分かっていても、私たちには、どうすることもできない。その感情は私のものだが、同時に、私がコントロールできないものでもある。

 逆に、熱狂的に心が動く商品に対しては、それを買うことから逃れることもできない。日が昇るのを布団では待てず、発売日前の夜明けに、Appleストアに並ぶようになる。

 前回までの「グーグルの逆説」「失われた顔」、「信任・信託」といった資本主義論は、企業競争の背景にある大きな潮の流れであった。その潮目に逆らえば、勝つことは許されない。

 ただ、特別な会社になるためには、この潮目に乗るだけでは足りない。信頼され、それと同時に、熱狂(マニア)を生まねばならないのである。既存のビジネス本が語らないもの、そして棹をさせば流されてしまうもう一つのもの、「ヒトの感情」を正しく知ろう。感情の「理論」を持たなければ、どんなにデータを集めても、どう解釈すれば良いか分からず、新しい洞察は得られない。

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