営業成績が振るわないなら、
PCのスイッチを切ろう

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便利なオンラインツールは、はたして「足で稼ぐ」ことに勝るのだろうか?実際には、商談の重要度に比例してテクノロジーの出番は少なくなり、対人能力がものを言う。『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?』の著者ブロートンが、テクノロジーに依存する営業担当者を戒める。


 映画『007 スカイフォール』の後半で、ジェームズ・ボンドは昔ながらのスタイルに戻ろうと決心する――もう最新技術はうんざりだ、とばかりに。敵役の悪辣なサイバーテロリストに、世界のあちこちまで追跡され手玉に取られた末、ボンドは懐かしのアストン・マーチンを車庫から引っ張り出してスコットランドの生家(スカイフォール)へ向かう。そこへ敵たちをおびき寄せ、昔ながらの銃撃戦に持ち込む。

 ビジネスの世界にいる私たちも、ボンドと同じようにしたいと思うことが時々あるはずだ。途切れることのないメール、世界各地のスタッフが映る画面を相手に延々と続くテレビ会議、顧客の情報をオンラインで探し回る不毛な時間――。こんな経験をしていれば、昔ながらのやり取りで済んでいた単純な世界が恋しくなって当然だ。

 テクノロジーは私たちの生活を簡略化する面もあるが、同時に複雑にもしている。

 セールスがそのよい例だ。従来のセールスのやり方は時代遅れになった、と耳にすることが最近では多いだろう。いわく、オンラインであらゆる情報が入手できるようになったため、売り手にとっては顧客を出し抜くことよりも、透明性を高め顧客と連携することが重要になっている。昔ながらの営業担当者が持つ卓越した手腕はすべて、「クリック・スルー率」や「ウィン・ウィンの関係」といった話に取って代わられている、というものだ。

 もしあなたがこうした話を丸ごと信じ込むなら、ボンドの敵である卑劣なミスター・シルバと同じ運命をたどる恐れがある。テクノロジーへの信仰が、事業にとってやがて命取りになるのだ。スパイ技術と同じように、セールスにおいても昔ながらのやり方が一番よい場合がしばしばある。

 これは詐欺的行為や詭弁を擁護するものではない。そうしたやり方でセールスというキャリアが長続きすることは、ほとんどない。昔もいまも、優秀な売り手は顧客のよきパートナーであり、顧客が成功すれば自分たちの営業成績もよくなるということを知っている。これは21世紀の新発見ではない。

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