交渉の席で「食事」をともにするのは、
プラスかマイナスか?

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合弁事業に向けた複雑な交渉の席。その場で相手方と食事をともにすることは、契約の成果に影響するのだろうか? こんなテーマに着目した、興味深い実験を紹介する。難しい交渉にこれから挑む人には、ヒントとなるかもしれない。


 交渉の過程で相手方と食事をともにすることは、多くの文化において一般的な慣習である。ロシアや日本では、ビジネス上の重要な取引の多くが会食の場で行われる。アメリカでも、交渉の多くは「ランチをご一緒しましょう」という誘いから始まる。

 しかし、食事をしながら重要なビジネス案件を話し合うことは、果たしてよりよい結果につながるのだろうか?

 この疑問を追求するために、私は2種類の実験を行なった。まず、レストランで食事をしながらの交渉と、会議室でいっさいの食べ物なしの交渉とを比較した。次に、会議室で食事をしながらの交渉と、同じ会議室で食事なしの交渉とを比較した。実験ではMBAの学生132人が2人1組となり、各組が架空の2社に分かれ、合弁事業に向けた複雑な契約交渉を行ってもらった。このシミュレーションでは暫定的な取り決めが設定されてはいるが、自社の利益を最大化するために検討・合意すべきさまざまな条件が盛り込まれている。交渉者たちは契約の各条項をどうするかを判断しなければならない。多くの交渉事がそうであるように、利益を最大化するためには相手方と情報を共有して協力し合い、最大の価値を創出できる落としどころを探る必要がある。

 最も多くの利益を見出したのは、自社の利益のみを考慮したグループではなかった。相手の優先事項を理解したのちに、合弁事業の全体的な利益を最大化させるために互いに協力した交渉者たちがよい結果を残した。これが可能となるのは、双方の交渉者がトレードオフを受け入れ、のちに合弁事業の純利益によってそれが補われるよう取り決めた場合のみである。シミュレーションで2社が創出する価値の合計は最大で7500万ドル、最低で3800万ドルになりうる。一緒に食事をすることが、この交渉にどのような影響を与えるかを調べるため、私はこの点に着目した。

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