「これまで思考」と「これから思考」
目標を達成するにはどちらが重要か

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目標に向かって素晴らしいスタートを切り、道半ばで力尽きる――これは誰にでも起こりえる現象だ。モチベーションを維持し取り組みを完遂するための思考術を紹介する。


「地獄への道は善意で敷き詰められている」のかどうかは知らないが、「失敗に通じる道」が善き意図で敷き詰められているのは確かである。

 職場の同僚たちをよく観察すれば、新しい仕事を始める際に素晴らしいスタートを切る人たちは多いことだろう。彼らは成功を望み、その達成のための有望なアイデアを持っている。毎回情熱とともに、あるいは少なくとも最後まで仕上げる決意を持って、新しい仕事に取りかかる。

 そして、変化が生じる。道半ばで意気込みを失ってしまうのだ。他の厄介な案件にかかりきりになってしまったり、仕事がズルズルと遅れ始めて期限に間に合わなかったりする。そしてプロジェクトは――もしそれが完遂されたとすればだが――大幅な遅延をきたす。

 そんな成り行きに心当たりはおありだろうか。自分がまさにそうだ、という人もいるかもしれない。仕事でも私生活でも、何かを意気込んで始めるけれど完遂できない、というのはとてもありがちな問題だ。仕事をやり遂げる方法を誰もが自分で簡単に見つけられるのであれば、デイビッド・アレンの『仕事を成し遂げる技術』(邦訳2001年、はまの出版)が大ベストセラーになるはずがない。

 仕事を完遂するために何よりも必要なことは、プロジェクトの最初から最後までモチべーションを失わないことである。以下に示す最近の研究によって、それがかくも難しい理由と、強いモチベーションを維持するシンプルで効果的な方法が明らかになった。

 シカゴ大学の心理学者ミンジュン・クーとアイエレット・フィッシュバックは、目標達成を目指している人が、すでに達成した過程に注意を向けるか(「これまで思考」)、達成への今後の道のりに注意を向けるか(「これから思考」)によって、どのように影響されるかを研究した。人はモチベーションを維持するために、これら2つの考え方のうちどちらかを選ぶのが常である。マラソン選手は意欲を保つために、すでに走り通した距離を振り返ることもあれば、先に残された距離を考えることもある。30ポンド(13.6キロ)の減量を目指してダイエットしている人なら、誘惑と戦うために、すでに減量した20ポンドのことを振り返るかもしれないし、残りの10ポンドについて考えるかもしれない。

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