アマゾンの牙城を揺るがす、
アリババのビジネスモデル

1

電子商取引の中国最大手アリババは、アメリカで上場することを2014年3月16日に正式発表した。同社はどんなビジネスモデルを持ち、破壊者としてどれほどの可能性を秘めているのか。アマゾンとの比較で把握しておこう。本誌2014年4月号(3月10日発売)の特集「ビジネスモデル 儲かる仕組み」の関連記事、第4回。


 アマゾンは、小売業界に破壊的変化をもたらしながら成長するというビジネスモデルによって、2013年には売上高800億ドル近くを生み大成功を収めた。現時点で見れば、アマゾンもその伝説的なCEOジェフ・ベゾスも、失敗とは無縁のようだ。

 しかしビジネスモデルの最終的な成否が試されるのは、破壊者になることではなく、むしろどれだけ破壊に対する抵抗力を持っているかによる。2014年、アマゾンにとって最も注目すべき動きの1つは、アリババのアメリカでのIPO(新規株式公開)計画だ。アリババは、大成功を収めている破壊的な中国企業というだけでなく、アマゾンとはまったく異なるビジネスモデルを採用している。

 アマゾンのビジネスモデルは3つの柱で支えられている。第1は低いマージンだ。ジェフ・ベゾスはどのインタビューでも、アマゾンがいかに低い利益率を常として成長してきたかを語っている。しかし問題はここにある。アリババのマージンはゼロなのだ。収益と利益をもたらすのは商品の販売ではなく、広告と有料のプレミアムサービスである。この収益モデルは功を奏しており、2013年の同グループの収益は1600億ドルを超えると予想されている。アマゾンは、顧客がどこよりも安く商品を買えるようにすることを価値提案にしているが、それこそがネックになる可能性がある。なぜなら、小売業者のマージンの上乗せがないことほど、顧客に得なことはないからだ。

 アマゾンの第2の柱は、顧客が購入したいものを労なく見つけられるようにすることだ。アマゾンは顧客へのコミュニケーションを積極的に行い、検索サイトでは結果が常にトップに表示されるように、相当の努力と金額を費やしている。アリババはこれとは違い、広告収入に依存する収益モデルであるため、検索エンジンに対して閉じられている。顧客はアリババのウェブサイト内でのみ商品を検索できる。これはかなり儲かる構図だ。その規模のおかげで、広告をクリックした人の数ではなく、見た人の数で広告主にプレミアム価格を請求できる。しかも、アリババのみを見ている顧客に競合他社はアクセスする隙がない。

 アマゾンの第3の柱は、購入頻度を高めるために考え出された一連の顧客志向のサービスだ(アマゾンプライム、定期おトク便、翌日配達など)。購入頻度は顧客の所得に大きく影響される。アマゾンの顧客の平均世帯収入はおよそ8万9000ドルで、米国全体の平均である7万1000ドルより25%以上高い。一方、アリババはサイト閲覧者が誰であろうと関係なく収入を得ている。

1
無料プレゼント中! ポーター/ドラッカー/クリステンセン 厳選論文PDF
Special Topics PR
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
DHBR Access Ranking