正しい楽観主義、能天気な楽観主義

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HBR.orgで最も多くのアクセスを誇る、心理学者ハルバーソンのブログ。第2回は楽観主義の効用と危険について。オプティミズムが成功を後押しすることは知られているが、「成功は簡単だ」という過信はむしろマイナスとなることが研究で実証された。


 モチベーションに関する講演や自己啓発本で、非常に多く発せられている、驚くほど単純なメッセージがある――「成功は簡単だと信じれば、必ず実現する」というものだ。この主張には問題ありと言わざるをえないが、残念ながらメッセージはやむことなく繰り返されているようだ。これは完全に間違っている。

 実際には、「努力しないで成功する」ことを思い描くのは役に立たないばかりか、悲惨な結果を招いてしまう。この忠告が効を奏するのは、わざと相手を邪魔しようとする時だけだ。そう、むしろ失敗の秘訣なのだ。これはけっして言いすぎではない。

 楽観的になるのはよいことではないのか? この答えはイエスだ。楽観主義とそれがもたらす自信は、目標を達成するために必要なやる気を起こし持続させるうえで不可欠である。科学的心理学の始祖の1人、アルバート・バンデューラによる何十年も前の発見によれば、個人の成功を予測する最良の指標は、自分が成功できると信じているか否かである可能性が高いという。その後何千もの実験が行われたが、バンデューラが間違っていたという証拠は見つかっていない。

 ただし、これにはひとつ重要な条件がある。成功できると信じることと、「容易に」成功できると信じることとはまったく別物だと理解する必要があるのだ。言い換えれば、「現実的な楽観主義者」と「非現実的な楽観主義者」の違いである。

 現実的な楽観主義者(バンデューラが取り上げた人々)は、自分は成功すると信じてはいるが、同時にその成功を「引き起こす」必要があるとも考えている――努力や慎重な計画、粘り強さ、正しい戦略の選択などを通じて。成功を阻む障害にどのように取り組むか、真剣に考える必要があることを理解しているのだ。そうした備えがあれば、目標を達成する自分の能力に対して自信が深まる。

 一方、非現実的な楽観主義者は、自分に成功が「訪れる」と思っている。前向きに考えていれば世界は報いてくれるとか、成功を阻む障害など存在しない人間へと一夜にして変身できると考えているのだ。この種の人々は、スーパーマンですらクリプトナイトという弱点があったこと、そして正体を隠し続ける難しさや恋の悩みに直面していたことを忘れている。

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