ビジネスモデルを「見える化」するピクト図解

「ビジネス3W1H」を意識してビジネスモデルを読み解け

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ピクト図解の表記ルール

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【図2】ピクト図解表記ルールVer2.0 「シンボル記号」

 ピクト図解の表記ルールはいたってシンプルです。“絵心不要”の「シンボル記号」を用います。使用する記号は、3種類の「エレメント」と2種類の「コネクタ」、そして3種類の「オプション」のみです【図2】。まずは、ピクト図解で使用する各記号を見ていきましょう。

エレメント

 エレメントとは、ビジネスに登場する「プレーヤー(ヒトや企業)」、その間を行き来する「モノ(製品やサービス)」と「カネ」を示す記号で、「ヒト、モノ、カネ」と覚えていただくといいでしょう。プレーヤーは、企業の場合は建物をイメージした長方形のマークを、個人の場合は人間の形のマークを使います。モノはシンプルに「○(マル)」で表記し、カネは「¥」のマークを使います。「ヒト、モノ、カネ」には、必要に応じて、企業名や製品・サービスの名前、金額などを書き添えます。

コネクタ

 コネクタは、「モノ」と「カネ」が行き来する流れ、つまりビジネスの「関係性」を表す矢印記号のことです。モノの流れ(販売)を表す矢印は先端を黒く塗りつぶしたものを、カネの流れ(支払)を表す際は先端を塗りつぶさない普通の矢印を用います。このように矢印を描き分けるのは、「製品・サービス」と「カネ」の流れを明確に意識するためです。カネの流れを示す矢印のことを、以後、ビジネスの主体にとって収入になる場合は「インカムライン」、支出となる場合は「アウトカムライン」と呼びます。

オプション

 オプションは、ピクト図を見やすくしたり、使用シーンに合わせて応用範囲を広げたりするための補助ツールです。「まとめ(中カッコ)」「タイムライン」「補足(フキダシ)」の3つの記号があります。(注:「補足(フキダシ)」は、ピクト図解表記ルールver2.0で追加された新記号。)

まとめ(中カッコ)は、1人のプレーヤーに対して2つ以上のモノ・カネの流れが発生するときなどに使用します。たとえばスーパーなどで複数の商品を同時に買う場合です。
 タイムラインは、時間の流れを表す時に用います。たとえばiPodのような顧客との関係が継続する “売り切りではない”ビジネスモデルを可視化するのに有効です。矢印と、その横に「Time」の頭文字をとった「T」を書き添えてください。
補足(フキダシ)は、エレメントやコネクタなどに説明を加えたいときに使用してください。ビジネスモデル・キャンバスの「価値提案(VP:Value Propositions)」、「経営資源(KR:Key Resources)」、「主要活動(KA:Key Activities)」、「顧客との関係(CR:Customer Relationships)」を記述する時にも使います。たとえばモノのエレメントにフキダシを添えて、製品の「価値提案(VP)」を書いたり、ヒト(企業)のエレメントにフキダシを添えて「経営資源(KR)」、「主要活動(KA)」を記述します【図3】。“売り切りではない”ビジネスモデルの場合は、タイムラインのある【図4】となります。

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【図3】「価値提案(VP)」などは
「フキダシ」記号で表記する
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【図4】“売り切りではない”
ビジネスモデル

 

ピクト図を描いてみよう

  次に、ピクト図を描く手順を見ていきましょう。ルールは、非常にシンプルです。
 文章を読み解く際は「5W1H」が重要と言われますが、ビジネスモデルの把握に必要なのは、「誰が(Who)」「誰に(Whom)」「何を(What)」「いくらで(How much)」売って儲けているのか、ということです。ピクト図解とは、極言すればこの「ビジネス3W1H」をビジネスモデル図に落とし込む手法ということもできます。ピクト図を描く時は、ビジネス3W1Hを意識し、「誰が」「誰に」「何を」「いくらで」の順に描き進めます。ビジネスは究極的には「モノとカネの交換」ですから、「誰と誰が」「何を、いくらで」交換しあっているのか、「交換のペア」をすべて描き出しましょう【図5】。

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【図5】「ビジネス3W1H」を
意識してピクト図を描く

 注意したいのは、コネクタは必ず「モノ」と「カネ」をセットで描かなくてはならないということです。ビジネスにおいてはモノが無料で提供されることもありますが、その場合もカネの流れを示す矢印を描き、「0円」と明記します。0円のインカムラインだけで成立するビジネスモデルはありませんから、ビジネスモデル全体を見通してピクト図を描けていれば、どこかに収益源を示す矢印が出てくるはずです。ピクト図によってカネの流れを意識すると、「サービスは0円だが、それではどこで収益を上げるビジネスモデルなのか」などと考える視点を持つきっかけにもなるのです。

 

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