自分流のマネジメント・スタイルを
うまく新しい文化となじませる法

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マイナス査定を部下にフィードバックする際、どの程度率直に告げるべきか。そのさじ加減は容易ではないが、相手が異文化の出身者であればいっそう難しくなる。中国とドイツの違いを例に、文化的差異に配慮したフィードバックの重要性と秘訣を示す。


 多くの人々は、他者の仕事を批評するのを好まないものだ。しかしそれは仕事をするうえで不可欠であることも、私たちはわかっている。できれば建設的に、無礼ではなく励ますかたちで批評したい。しかし、批判的なフィードバックは文化を超えて同じように有効なのだろうか。上海の人々は、シュトゥットガルトやストラスブール、ストックホルムの人々と同じかたちで批判的なフィードバックをするのだろうか。

 答えは不是、ナイン、ノンである。彼らは相手の文化に応じて、自分たちのフィードバックのスタイルを変えなければならない。それは往々にして、口で言うほど簡単ではない。

 ドイツ人の経営幹部であるイェンスの例を見てみよう。彼はドイツ本社から、上海にある自社の製造工場に派遣された。工場の効率性向上が目的だったが、彼の努力はすべて正反対の結果をもたらしているようだった。中国人従業員たちの効率性と成果はむしろ下がっており、イェンスは何が問題なのかを突き止められなかった。

 彼はドイツでうまくいったことを、すべて駆使していた――業績評価のフィードバックに関しては、特にそうだった。実際、ドイツでやるのと同じ水準で厳格なフィードバックを与えることを徹底した。自分の期待を下回る中国人従業員がいれば、イェンスは躍起になって直ちに違うと指摘し、プロセスを正しい方向に戻そうとした。しかし問題は、このやり方が通用しなかったことだ――実際、無残なまでに失敗した。彼は生産性を上げるどころか低下させており、本社にいる自分の上司たちから電話がかかってくるようになり、全般的に悲惨な状態になりつつあった。

 厳しく批判的で、正鵠を射た否定的なフィードバックは、ドイツでは有効であった。しかしそれは、中国人従業員たちのやる気を削いでしまうことになったのだ。彼らが慣れ親しんでいるフィードバックのスタイルは、はるかにソフトなものだ。ドイツでは、本当に際立った成果でもない限り、特定の成果を取り上げたり称賛したりすることはない。前向きな勤務態度は優れている証しではなく普通のことだ、というのがドイツ人の考え方だ。従業員には特定の任務を遂行することが期待されており、任務の達成をわざわざ称えてもらう必要はないのだ。中国では――少なくともこの工場では――まったく違う文化だった。従業員は純粋な批評よりも、激励を期待していた。前向きな言葉によって彼らは生産性を高め、自発的にもう少し努力しようという気持ちになるのである。

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