人を怒らせてしまった時の対処法

1

なぜ言い争いが起きるのか?話せば話すほど関係はこじれる。「自分の意図」と「相手の現実」が噛み合わない時、対人関係はややこしくなるのだ。これを解消する方法のひとつは、真意の説明ではなく相手への共感を優先することだ。日々の人間関係に効く処方箋を、ブレグマンがお届けする。


 遅くなってしまった。妻のエリナーと午後7時にレストランで落ち合うことになっていたが、30分も過ぎている。クライアントとの打ち合わせが長引いてしまったのだから、言い訳はある。一刻も無駄にせず、ディナーへと急いで来た。

 レストランに着いた私は妻に謝り、遅れるつもりはなかったんだ、と言った。

「そうでしょうとも」。まずい、妻は怒っている。

「すまなかった。でも、どうしようもなかったんだ」と、私はクライアントとの打ち合わせが長引いたことを説明した。ところがこの行為は彼女をなだめるどころか、事態をますます悪化させたようだった。そのために、私までもがイライラし始めた。

 おかげでディナーは、味気ないものになってしまった。

 数週間後、友人で家族セラピーの専門家であるケン・ハーディーにこの話をしてみた。彼は微笑んで言う。

「君は、古典的な過ちを犯してしまったんだよ」

「僕が? 僕のほうが過ちを犯したって言うのかい?」冗談めかして私は答えた。

「そうだ。そしてたったいま、その過ちを繰り返したよ」と彼は続けた。「君は『遅れるつもりはなかった』という自分の立場に固執した。しかし問題は、君がどういうつもりだったかではなく、君が遅れたという事実だ。問題は――そして君のコミュニケーションで大事なことは――君の遅刻がエリナーにどう影響を及ぼしたか、なんだ」

 言い換えれば、私が自分の「意図」に焦点を当てていたのに対して、妻は「結果」に焦点を当てていた。私たちは別々のテーマで会話をしていたのだ。その結果、どちらも相手から認められていない、誤解されている、と感じて腹を立てた。

 ケンに言われたことを考えれば考えるほど、この戦い――意図vs結果――は、対人関係を乱す根本的な原因だと気づいた。

 大事なのは、何を考えたかではなく、どう行動したかでもない。なぜなら、相手はあなたの思考や行動を経験してはいないからだ。彼らが経験するのは、あなたの行動がもたらした結果なのだ。

 別の例を考えてみよう。あなたが同僚にeメールを送り、「君なら会議でもっと発言できたはずだ」と伝えたとする。

 同僚からの返信はこうだった。「君がもう少し発言を控えてくれたら、僕にも発言するチャンスがあっただろうね」

 あなたは明らかに気分を害する。そして、最初のメールの真意を伝えようと再度送信する。「君を傷つけるつもりはなかった。ただ、参考になればと思ったんだよ」。そして、彼からの返信がけんか腰だったからがっかりした、と付け加えるだろう。

 しかし、それでは事態は少しもよくならない。彼はあなたの最初のメールを引用しながら言い返す。「これを読んで、相手がどう感じるか、わからないのか?」。あなたは再度返信する。今度は太字で――「だから、そんなつもりじゃなかったんだ!」

 こうした負のスパイラルから抜け出すには、どうすればいいのか。

1
無料プレゼント中! ポーター/ドラッカー/クリステンセン 厳選論文PDF
Special Topics PR
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
DHBR Access Ranking