助言を求めるのはよいことか?
不安が意思決定を歪める

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重大な決断には不安がつきものだ。それを和らげるために、他者に助言を求める。この「不安」と「助言への依存」が意思決定に及ぼす影響を実証した、研究結果を報告する。本誌2014年3月号特集「意思決定を極める」の関連記事、最終回。


 新規事業の立ち上げ、ジョイント・ベンチャーの実現、人材の採用・解雇などといった重大な意思決定には、共通する点がある。不確実性が高いことだ。わからないことや知りえないことが非常に多い場合、取るべき行動を決める際に不安が生じる。そのため私たちは、他者に相談して、こうした重い意思決定に力を貸してもらおうとする。

 専門家や信頼できる友人に相談することは、賢明な行動のように思われる。しかし、それには予期せぬ代償が伴うのだ。私と同僚は最近行った研究で、人々が他者からのアドバイスを受け入れようとする意思に不安がどう作用するのか、そして不安がいかに人を間違ったアドバイスに従わせるのかを調査した(報告書の英文PDFはこちら)。その結果、他者に相談して不安を取り払おうという直感的な行動は、多くの問題を招きかねないということが明らかになった。

 ある実験で、大学生の被験者たちに見知らぬ人物の写真を見せ、その体重を当ててもらった。誤差が10ポンド以内であれば合格とし、1つの正解につき1ドルのボーナスを払うという条件である。初回の作業を終えた後、参加者の一部には、山岳アクション映画「バーティカル・リミット」で不安感を引き起こすシーンを見てもらった。残りの参加者には、グレートバリアリーフの魚に関するナショナルジオグラフィックのニュートラルな(特に心理的な影響を与えない)ドキュメンタリーを見てもらった。

 続いて、参加者はみずからの意思決定に関する自信について、自己評価を行った。その後2回目の体重推定へと進んだ。ただし、今回は写真を見せる前に、だれかのアドバイスを聞いてから答えを出したいかどうかを意思表示してもらった。映画を見たために不安な心理状態に置かれた参加者は、ドキュメンタリー映像を見た人たちよりも自信の度合いが低かった。そして、不安な状態の人のうち90%が他者の助言を求めたのだ。これに対し、不安でない人たちは72%しかアドバイスを求めなかった。そして不安な状態の人たちは、与えられたアドバイスに従う傾向も強かったのである。

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