あなたは部下にどう思われているか
真実を知る勇気

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優れたマネジャーの要件は数多くあるが、リーダーシップ研究の権威であるヒルとラインバックは「勇気」という資質を最重要視する。部下が自分をどう評価しているかを探り、受けとめる勇気について、2回にわたり考察する。


 部下の業績に責任を持つ者として、上司に必要とされる条件は数多くある。そのなかに1つだけ、ほとんど触れられることのないものがある。そして皮肉なことに、それこそが他の多くの条件の土台となる、最も重要なものかもしれない。

 その基本条件とは、勇気である。

 勇気とは、難しい判断を下したり強硬な措置を取ったりすることも含まれる。たとえば部下への厳しいフィードバック、優秀だがまだ足りないところのある部下の昇進を見送ること、人気はあるが効果が上がっていないプログラムの中止、不景気に伴う人員削減などだ。しかし、それだけではない。

 もちろん、上記のような行動にも勇気は必要だが、ここではさらに難しい行動について論じたい。すなわち、他者と同じ視点で自分を見つめる必要性だ――たとえ他者の評価が自己評価と異なっていてもである。自分が思うほど有能で善意ある上司だと見られていない可能性がある、と知る覚悟を持って行動するには、大いなる勇気が必要だ。

 我々が出会ったあるマネジャーは、有能で思いやりに富んでいた。彼女の部下たちは連夜遅くまで、重要なプロジェクトの残業に追われていた。マネジャーはその現場にいなくてもよかったが、部下と苦労を分かち合い、支援と感謝を示そうと、一緒に遅くまで残った。

 数週間後、部下に直接聞いて初めて、彼女は自分の行為が疎まれていたことを知る。周囲は彼女の行動を支援の証しとしてではなく、期限内の完遂を疑っていたためと見なしていたのだ。現場に上司がいたことでチームの一体感が損なわれ、彼女の意図と反対の結果を導くこととなった。部下に何の気なしに質問したことで、彼女はそれを知ることができたのだ。

 私たちは、他人も自分と同じように自分を見てくれている、という無邪気で誤った思い込みを抱いていないだろうか。

 ある別のマネジャーは、自分は部下への権限委譲が得意だと思っており、実際に多くを任せすぎているかもしれないとさえ考えていた。ところが部下たちからは、細かいところまで指図する高圧的な上司だと思われていた。それを知った時、彼はショックを受け傷つき、部下との関係を大幅に見直す必要に迫られた。さらに別のマネジャーは、自分が率いるチームと仕事への熱意を部下にはっきりと伝えているものと考えていた。しかし部下の多くから、自分の見栄とキャリアしか気にしていない上司だと思われていた。

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