「サービス・プロフィット・チェーン」が
今なお重要である理由

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「サービス・プロフィット・チェーン」は、顧客と従業員の満足を収益性に関連づけるフレームワークとして、1994年のHBR論文で提唱された。その功績を改めて称えるダベンポートは同時に、HBRの名著論文に共通する4つの特徴を挙げる。


 ブラック・フライデー(感謝祭翌日の金曜日。クリスマス商戦の始まりで、小売店の売上げが増え〈黒字になる〉ことから)が過ぎ、サイバー・マンデー(感謝祭翌週の月曜日。オンラインでクリスマス・プレゼントを購入する人が急増する)がやって来た。小売業の命運を左右する買い物シーズンが佳境に入り、私たちが前線で働くサービス担当者と接する機会も増えている。

 2012年にHBR創刊90周年を迎え、時を超えて影響を及ぼしてきた過去の論文にを振り返る機会もあった。そこで、1994年に発表され2008年に「名著論文」として再掲された、"Putting the Service-Profit Chain to Work" を取り上げたい(邦訳初出は本誌1994年7月号「サービス・プロフィット・チェーンの実践法」。2006年11月号の要約版「サービス・プロフィット・チェーン」は、こちらから立ち読み可能)。サービス・マネジメント研究の第一人者たち(ジェームズ・ヘスケット、トム・ジョーンズ、ゲイリー・ラブマン、アール・サッサー・ジュニア、レオナルド・シュレジンジャー)が著したこの論文は、経営上のアイデアがいかに力を持つか、そしてアイデアを現実のものとするためにはいかに努力が必要かを示す、優れた例証である。

 サービス・プロフィット・チェーンの基本的な考え方は、組織が従業員を大事にすれば、従業員は顧客によいサービスを提供するというものだ。そうなると顧客の購買が増え、企業の売上げと利益が増大する。そうして得られたリソースをテコに、企業は従業員満足と顧客満足をさらに高めることができる。この好循環は小売業のみならず、先進各国で経済の中核を成すサービス業全般に言えることが証明済みである。

 この論文はさまざまな理由で優れている。HBRのベストセラー論文に共通する典型的な長所もあれば、きわめてユニークな点もある。まず、典型的な特徴について述べよう。

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